コミュニケーション表現専攻

皆さんは「コミュニケーション」についてどのようなイメージを持っていますか? あらゆる人々が日々不断に行っていることなのに、いざ考えてみると、会話とかSNSでのやりとりとかの曖昧なイメージしか浮かばない人が多いでしょう。「コミュニケーション表現専攻」では、コミュニケーションを個々人が抱えている想いや考えを、音声や身振り、文章、メディアなどの表現手段を用いて他の人々と共有していく表現活動だと捉えています。その意味で、本専攻の特色は、表現活動としてのコミュニケーションを〈探究する〉ことと〈実践する〉ことの双方を大学で学ぶことができる点にあるといえるでしょう。

例えば、日常的な会話やコミュニケーションがどのような仕組みで出来上がっているかを言語・非言語の観点から解明したり、小説作品やマンガ・アニメなどの文章・メディア表現の深みを掘り下げて卒業研究に繋げていくことができます。その一方で、自分が他人に伝えたい気持ちや世界観を効果的に文章や音声で表現して卒業制作を行うことも可能です。「コミュニケーション表現専攻」はこうしたコミュニケーションの探究と実践を通して、学問の場と社会の場を自由に往来できるような人材を育てています。

代表的な授業

コミュニケーション表現法基礎I

正確でわかりやすく伝える音声コミュニケーションの基礎を学ぶことに加えて、聞き手に話の内容を理解してもらえる「話し方」の基本と戦略を実践的に学びます。特に、自分の話し方の個性を踏まえたかたちで、話す内容・場面・相手・フォーマットなどの様々な要因を考慮し、音声コミュニケーションの実践を行う上でのポイントを演習形式で学んでいきます。こうした実践を通して、スピーチ、ナレーション、プレゼンテーション、朗読、などの基礎的な音声コミュニケーション能力を養います。また、初回と最終回で全員が自己紹介を映像収録し、それを比較して自己評価を行うことで、自身の音声コミュニケーション能力に対する「気づき」を「学び」に昇華させます。

コミュニケーション表現法応用Ⅱ

「コミュニケーション表現法応用Ⅱ」(文章表現)は、小説などフィクションのジャンルでの文章創作を実践的に学ぶ授業です。
具体的には、既存の「起承転」を受けて「結末」部分を創作したり、視点を変えて人物の動きや場面を描写したり、「1枚の絵」を言語表現化したり、あるいは、民話や昔話のリライト作品を作るなど、物語や短編小説の構成、展開、文章表現技法を学び、実際に一場面・一作品を書いてみることを通して、想像力豊かに作品を書き上げる力を高めていきます。さらに、受講生同士の作品を味わい、どうしたらもっと深まったり面白くなるかを相互検討することで、自分の文章を振り返る力を養っていきます。

言語表現メディア作品研究

「読んだ、書いた、笑った」――文章創作と表現研究の両方のベースとなるような先行作品のインプットを行う授業です。日本や世界の言語表現メディア作品を読解・視聴したうえで、そこに用いられている表現形式や理論を学びます。前半は教員による講義。「若いうちに一度は読むべき/観るべき」という視点から教員が選んだ作品を読み、教員の解説を聞きます。後半は学生が選んだ作品についての発表(人によっては朗読や実演を交えることもあります)と討議(+ときどき表現実践)を行います。小説や詩をはじめ、演劇、漫画、映画なども広く視野に入れ、創作したい人と研究したい人がともに学ぶからこそ拓ける読み方を、皆で考える場です。

ゼミ紹介

言語表現メディア研究・文章創作ゼミ

文章創作を行う人と表現研究に取り組む人がともに学んでいます。表現の世界で今何が起こっているのかを皆で考えながら、近未来も視野に入れた文章創作と表現研究を拓くゼミです。卒業制作では小説、脚本、紀行文などの創作を行います。最近では脚本⇒小説への自己リライトといった作品も出ています。卒業研究では、メディア作品の表現分析(語彙、表記、レトリック、構造など)を行います。小説、記事、詩などの文字メディアはもちろん、演劇、朗読、漫画、映画、アニメーション、歌詞などの声や図像との融合メディアや、異メディア間や異文化間の比較など、テーマは実に多彩。文字×絵、声×絵などの組み合わせに着目するような表現分析も開拓・進化中です。

音声表現・コミュニケーション研究ゼミ

ことばを用いた人々のコミュニケーションの中で、特に「音声・言語表現」に焦点を当てて卒業研究を進めています。他者とのコミュニケーションを行う上では、何を表現するかだけではなく、どのような〈場面〉においてどのような〈表現手段〉を用いて相手に伝えるかが重要です。さらに、そうした送り手が伝える意味や創り上げる世界が受け手にとってどのように〈リアル〉なものとして捉えられるかという問題も無視できません。そうした問題意識のもと、日常会話、インタビュー、漫才、演劇・フィクション作品、面接、教育場面などの様々なコミュニケーション場面を取り上げ、日常場面から専門領域に至る言語コミュニケーションの構造や機能の理解を深めることを目的としています。

文章表現研究・文章創作ゼミ

このゼミは、文章創作や文章表現研究を行います。
「文章創作」では、小説や脚本、紀行文などの創作を行い、最終的には4万字程度の卒業作品を創り上げます。これまでの卒業作品では、生と死、進路選択、恋愛、親子の葛藤、地方と都市の格差、教育問題、東北大震災、異文化理解など、多様なテーマをユニークな切り口で描き出してきました。
「文章表現研究」では、文字で書かれた言語表現の特徴や、表現技法に焦点を当てた研究を行います。お気に入りの小説やキャッチコピー、ツイッターのつぶやき、商品名や本の帯、映画のチラシやテロップ、はては「・・・」や「、」の記号まで、街にあふれている多種多様な「気になる」表現の仕掛けや特徴に迫ります。
<物語が好きな人、文章が好きな人、文章を書くのが好きな人、とにかく文が好きな人>が集うゼミです。

身体表現・相互行為研究ゼミ

身体表現・相互行為研究ゼミ

私たちの日常は、言葉だけでなく、言葉を発する際の声の出し方、視線の動きやジェスチャーのような身体動作など、私たちが想像している以上にさまざまな資源を巧妙に積み重ねて成り立っています。このゼミでは、会話分析と呼ばれる観察科学を頼りに、対人サービスやスポーツ場面における視線の役割、グルメドラマにおける言葉にならない表現(例:「ん〜」のような声や、目をぎゅっと閉じる)の演出効果などの、相互行為がかかわるさまざまな場面や状況の成り立ちを明らかにすることを目的としています。実験的・日常的な会話だけでなく、医療、介護、科学コミュニケーション、観光などを対象に、現代社会の諸問題の解決に貢献することを目指す研究も歓迎します。