研究所について

所長あいさつ 研究所沿革・体制

所長あいさつ

立命館大学人文科学研究所
所長・運営委員長
遠藤 英樹 (文学部・教授)

 人文科学研究所は、立命館大学において最も歴史ある研究所であり、1948年に発足して以来、学内外の研究者を組織し、人文学や人文・社会科学の学際的共同研究を精力的に推し進め、その成果を社会に還元する取り組みを積み重ねてきました。

 21世紀の現代にあって、社会はますますグローバルな様相を呈し、流動化・液状(リキッド)化し始めています。同時に、自国中心主義的、あるいは自文化中心主義的な価値観がこれまで以上に台頭し、「閉じてゆく思考」も目立ち始めるようになっています。人間、資本、技術、情報などが世界中を駆け巡り、移動する機会が増え、境界(ボーダー)を融解させ越えていくことに対し様ざまな怖れも生まれ、逆説なことに境界(ボーダー)をより強固なものとしたいという欲望も強まってきているように思われます。

 そうした中で、経済的格差の拡大、内戦・民族紛争の深刻化など、人間の尊厳や生存条件を脅かす事態も奥深く進行しています。現代における人文・社会諸科学は、こうした事態に立ち向かうための知の産出・蓄積・発信を行っていくことがつよく求められています。そのため、先人たちがこれまで蓄積してきた成果を最大限尊重し大切にしながらも、同時に、グローバルで流動的な社会が生み出す多様な諸問題に対して一層真摯に取り組み、現代の社会に資することのできるよう、みずからを刷新し変革していく必要があります。

 ただし、社会に資するということは、社会におもねるということを意味しているわけでは決してありません。そうではなく、それは、人間の尊厳を守ることのできる自由で瑞々しい社会を新たに生成させていくための知を、人文・社会諸科学が産出・蓄積・発信していくことを意味しています。人々が「世界市民」として他者とともに生きる想像力(イマジネーション)を豊穣化させるためにこそ知の創造力(クリエーション)を高めていきたいと、私たちは考えています。

 このために立命館大学人文科学研究所は一切の妥協を排し、新たな「人間の学」の可能性をつねに追求し続け、人類の未来を見据えた研究に取り組んでいきたいと思います。本研究所は、立命館大学はもちろん、日本、アジア、世界における人文・社会諸科学の刷新(イノベーション)と変革を牽引するフラッグシップの役割を担い、その研究成果を世界へ向けて発信するプラットフォームとなることを目指します。その際には、若い世代の研究者の参加を積極的に促しながら、学内外においてネットワークの「多様体」を形成し、研究成果を蓄積していきたいと願っています。

研究所沿革・体制

研究所沿革

人文科学研究所は、1948年4月新制立命館大学の発足とともに、本学における人文科学・社会科学全般にわたる総合研究、共同研究の推進母体として設立されました。
研究所は、総合大学の研究力を活かして日本と世界の現代的な課題を中心に、1年~5年の期間でプロジェクト研究を進めています。
斬新な着眼点と先進的な発想で研究を進め、その成果を学術図書、紀要などに発表しています。
研究所が長年にわたって主催してきた市民講座 「立命館土曜講座」は、2003年度以降立命館大学衣笠研究機構にその企画運営および主催が引き継がれ、発足当時からの趣旨である「大学の研究成果の社会還元」を受け継いで進められています。

人文科学研究所パンフレット(JPN/ENG)

体制

2023年度
所長・運営委員長
遠藤 英樹 (文学部・教授)
副所長
川村 仁子(国際関係学部・教授)
運営委員