農学部から生体生理学研究へ
大学に進学した当初の夢は、修士課程を出て、将来は企業で研究技術職として働くこと。研究者になろうとは思ってもいませんでした。
もともと動物や植物が好きで農学部を選びましたが、進学した農学部(農芸化学科)は幅広い学問分野に通じており、バイオテクノロジーや遺伝子工学、土壌や微生物など多岐にわたる学びに触れました。中でも私が興味を持ったのは、生体の生理学的な現象の数々です。
「生体を研究したいのなら、医学的な知識や技術が欠かせない。大学院は医学系に進んだほうがいいよ」。4回生の時、卒業研究の指導教員からそうアドバイスを受け、他大学の大学院を受験することを決めました。
大学院では、医学的な見地から生体を詳しく学び、狭かった視野が広がっていくのを感じました。現在の専門である糖尿病の研究を始めたのもそこからです。「修士課程まで」と思っていた当初とは裏腹に、さらに医学研究科の博士課程に進み、研究を続けることになりました。