最先端のITに興味を惹かれて
「研究者になろう」と最初に意識したのは高校生の時です。仲の良い友達が「NASAの研究者になる」と言うのを聞いて、「じゃあ、私も」と、そんな軽い気持ちでした。研究者が実際にどんなことをするのか、当時は何も知りませんでしたが、結局この決断が、理系選択や大学進学、そして今につながっているから不思議です。
大学4回生の時、卒業論文を書くにあたって研究室を一つひとつ回り、興味を引かれたのが、コンピュータによる言語処理の分野でした。AI(人工知能)について研究しているのを見て「おもしろそう」と思ったことが、現在の研究との出会いでした。
大学院修士・博士課程、そしてポストドクターとして大学に残った1年間は、自分の研究に思う存分打ち込んだ時期です。研究がおもしろかったことはもちろんですが、研究を続けるために結婚や出産といったライフイベントの前に確かな職を得ておきたいという気持ちもありました。就職が難しいといわれる大学教員のポストを得るには、多くの論文を発表する必要があります。専門誌や学会誌などに論文を投稿すると、さまざまな疑義や時には厳しい批評が寄せられます。それに対して誤解を解き、ロジックを通すことができて初めて研究者といえるのではないかと私は考えています。さまざまな研究テーマに挑み、できるだけ多くの成果発表をしたことで今のポジションがあると考えています。