家電メーカーからキャリアをスタート
「管理栄養士の資格を取れるから」と料理好きの父親に勧められ、女子大学の付属校から家政学部入学した時は、後に研究者になるとは夢にも思っていませんでした。けれど今振り返れば、スポーツ栄養学をはじめ多岐にわたる分野の先生から指導を受けたことが、研究者、教員としての素地になっていると感じます。
大学を卒業後、最初に就職したのは大手家電メーカーでした。私に課せられたのは、自社製品であるオーブン電子レンジのためのレシピ開発や調理のデモンストレーション。この時、人前で料理をしながら、言いたいことを伝えるという経験しました。転機が訪れたのは、3年後。世の中はフィットネスブームの到来で、続々とスポーツクラブが増えていました。それを目の当たりにし、ダイエットやスポーツに役立つ食事指導についての企画書を作成し、知り合いのスポーツクラブに飛び込みで持ち込んだ事がきっかけでスポーツ関連企業の栄養サポート部門に採用され、以後さまざまなスポーツのアスリートや企業の健康作りのための栄養サポートに携わったことがその後の人生を変えることになりました。
中でも中心となったのが、高校野球選手とそのチームへの栄養サポートです。成長期にあるスポーツ選手にとって「食」がいかに大切か、最初は理解してもらえないことも多かったですが、公立進学校を中心に、少しずつサポートするチームが増え、この「『食』に対して自立する大切さ」をより多くの球児に伝えたいとの想いをまとめた『野球食』を出版したのもこの頃でした。