大学時代の中国留学が国際教育研究の原点
初めて国際交流を体験したのは、大学時代。友人に誘われて大学祭実行委員になり、留学生と交流する企画を担当した時でした。1980年代後半当時、使命感を持って学んでいる多くの留学生と接し、異なる文化や言語を持つ人と触れ合う楽しさを知りました。その後、学内で留学生の生活をサポートしながら学内の国際交流を促進するサークルを立ち上げ、その活動に熱中しました。
中国語の先生から中国の南京大学への留学を勧められたのは、そんな時です。話を聞いた瞬間に「行きたいです」と即答しました。その時、留学を後押ししてくれた祖父の「20年後にはきっと中国は世界で重要な国になるだろうから、しっかり見てきなさい」という言葉が忘れられません。「今あるものだけで世界を判断せず、先を見据えてどう行動するかを考える」。その教えは、30年近く経った今も私の指針になっています。
中国での留学生活は、何もかもが日本とは異なり、刺激的なことばかり。毎日が楽しく、夢中で過ごした1年間が、異文化間コミュニケーションや国際教育を研究する原点となりました。心に残っているのは、親しくなった現地の学生から日本の戦争責任について問われたことです。それに応える中で、相手の考えを理解しながら自分自身の考えをしっかり伝える大切さを学ぶとともに、そうした対話が信頼関係を深めることも実感しました。