「世界を冒険したい」そんな夢を抱いて来日
小さい頃から活発で冒険が大好きだった私は、「いずれは父親と同じ軍人になり、世界のさまざまな国へ行って冒険したい」と思っていました。そんな夢への第一歩として日本を選んだのは、ほんの小さな偶然から。母国・スリランカの高校を卒業し、大学に進学するまでの期間に、好奇心から立命館アジア太平洋大学(APU)の進学説明会に参加したのがきっかけでした。自動車をはじめ数多くの日本製品が流通し、日本のテレビドラマが放映されるなど、スリランカで日本は身近な外国の一つです。私自身、高校で日本語を勉強したこともあり、遠く離れた日本に行くことに抵抗はありませんでした。
幸運にもAPUに合格。世界中から学生が集まる国際的な環境で学び始めて最も苦労したのは、日本語よりも英語の習得でした。授業はもちろん、国際学生とのコミュニケーションはすべて英語。母国である程度英語を習得してきたものの、最初はほとんど聞き取ることができませんでした。周囲の学生は、私と同じスリランカ出身の学生も含めて皆、言語だけでなく学びの面でも優秀で、それまで自分がいかに小さな世界で生きてきたのかを痛感したのを覚えています。それから学びに対する意識が大きく変わりました。
もう一つの外国語である日本語は、学ぶというより実践を通じて身につけました。中でも力になったのが、アルバイトです。来日した年の冬休みに、農家で「七草摘み」のアルバイトをしたのを皮切りに、レストランやファストフード店、居酒屋、英会話教室や自治体などでさまざまなアルバイトを経験。大学の枠を超え、社会のさまざまな人と接する中で日本語が上達していきました。