研究のおもしろさを実感し実務家ではなく研究者の道へ
研究の楽しさを初めて知ったのは、大学3回生の時、所属していたマーケティングのゼミでグループ研究に取り組んだことでした。
着目したのは、インターネット上にある「クチコミ」です。当時大ヒットしていたアニメ映画についてのクチコミに、肯定的な内容ばかりでなく否定的なものも数多くあることを発見したのが発端でした。肯定的なクチコミが多ければ客足が伸びるというのは容易に想像できますが、否定的なクチコミが多いのにも関わらずヒットしているのはなぜなのか?そんな素朴な疑問からグループの仲間と調査を実施。それだけに留まらず、指導教授に勧められて英語で論文を作成し、国際学会でも発表しました。初めての研究を通じて、疑問や問題意識を元に仮説を立て、それを実証するプロセスや、学生ながら世界各国の研究者たちの前で発表し、「おもしろい」と評価を受けたことに大きな達成感と喜びを味わいました。
その後は就職するつもりで就職活動を行い、大手企業から内定を得たものの、「もう少し研究を続けたい」という気持ちが膨らみ、修士課程への進学を決意。加えて、ゼミに所属する大学院生の先輩を見て、「大学院で専門性を磨くことで進路の選択肢が広がり、キャリアが豊かになるかもしれない」と感じたことも、進学に気持ちが傾いた理由でした。
将来の進路について悩んだのは、博士課程への進学を決めた時です。修士課程修了後は就職するつもりで、この時も大手企業から内定を獲得しました。けれど長い目で自分の人生を考えた時、将来結婚や出産などのライフイベントを経ても仕事を続けるには、決められた勤務時間や会社のルールに縛られることなく自分の裁量で働き方をアレンジできる研究者の方が自分に向いていると思いました。
何より大きかったのは、学部時代から教えを請う指導教授の存在です。学部生であっても妥協を許さず、厳しくも熱意を持って指導してくださり、何度も国際学会で発表するチャンスを与えてくださったおかげで、研究のおもしろさを実感することができました。教授の指導がなければ、現在の道は辿っていなかったと思います。