憑依と除霊、いわゆる宗教医療は、世界中で古くからありますが、現代科学でも解明しきれないことが多くあります。この研究では、憑依(霊にとりつかれること)に焦点をあて、医学的に治療の効果がないにもかかわらず、除霊という宗教的治療で治癒した患者に聞き取り調査を行いました。
犬神憑きを落とすことで知られる徳島県賢見神社では、お祓いを受けに来た多くの人が、病院では病名も治療法もわからないような頭痛・腰痛・咳、慢性の痛みなど様々な身体的苦痛を訴え、お祓い後、症状が楽になっていました。しかし、それらの人のほとんどは犬神などの霊的な存在を信じていませんでした。
カトリック教が根付いているイタリアのある地域での、悪魔祓いについての調査では、本人とは思えないような唸り声をあげる人が悪魔祓いを受けた後、症状が楽になりました。
現代人のほとんどは憑依を信じていません。けれども、「治る」から、すなわち現実的な効果があるからこそ、現代社会においても憑き物はなお生き続けるのかもしれません。