現代社会において大きな問題となっている海洋プラスチックごみ。この問題を解決し、ゼロにすることはできるのでしょうか。現在も毎日のようにプラスチックは生産されており、海への流出量を上回る量を回収しなければ海洋プラスチックごみは増え続けます。
この課題については多くの研究者が研究を重ねています。しかし、そのほとんどが部分的、現象的な推測に留まっています。
そこで、フランスの共同研究者と一緒に、人口の移り変わり、プラスチックの使用量や廃棄量、海に流れる量などを組み込んだシミュレーションモデルをつくりました。これによると、清掃によるごみの回収、不適切な廃棄の削減、プラスチック以外の利用の3つの施策を組み合わせて実施する場合にだけ、唯一、十分な削減効果があると推測されました。さらに、本研究では施策にかかる費用の推測も行っており、その結果、想像をはるかに越えた費用であることが示されました。
2019年6月に大阪で開催されたG20では、2050年までに海洋プラスチックごみによる汚染をゼロにすることを目標に「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が示されました。社会や経済、生態系の変容を考慮したシミュレーションで未来を見ることが解決への一歩になるのでしょうか。