中はどうなっているの?
遺跡内部へと続く扉は、クインススタジアムに下りる階段の途中にあります。重い扉を開いて中へ入り、階段を下りると通路があります。突き当たりの10m×10mくらいの敷地に遺跡の一部が保存されています。中はひんやりとして湿っぽく、土の匂いがします。ところどころに調査用に掘られた深い溝(トレンチ)が見られます。(動画撮影・編集/立命館大学放送局)
2015年2月19日更新
あなたは立命館大学のキャンパスに、「秘密の扉」があることを知っていますか?
「秘密の扉+R」では、みなさんが知らない、聞いたことがない、見たことのない、キャンパス内の特殊な施設をご紹介します。
あなたの興味を刺激する新たな発見があるかもしれません。扉の向こうの世界を見てみましょう。
現在保存されているのは、遺跡の中の製鉄炉があった部分です。製鉄炉は粘土で作った長さ約3mのバスタブ状で、当時としては最大・最新のものであったと考えられます。ここに鉄鉱石と木炭を入れ、左右のフイゴから空気を送り込みます。数日間燃やし続けた後に炉を壊し、中にできた鉄のかたまりを取り出します。遺跡からは木炭釜や鍛冶場の跡も発見されました。
遺跡周辺にはもともと湧き水や池がありました。湿度が上がりすぎるとカビの発生や遺跡崩壊の原因になるので、遺跡内の湿度を一定に保つため24時間自動で排水・除湿されています。
梵鐘は大型であるため、土に穴を掘って鋳型を設置し、そこに溶かした金属を流し込んで作られました。保存されているのはこの穴の基底部です。国内最古のものと見られ、保存状態も良く大変貴重な資料です。
木瓜原遺跡で作られた須恵器・土師器や、でき上がった鉄を取り出す際に壊した炉壁の一部などの出土品が展示されています。
調査当時の航空写真や作業の様子の写真を納めたショーケースの側面には、本物の遺跡の断面が貼りつけられています。須恵器釜の周りの部分で、炭や灰・須恵器のかけらなどが堆積しているのが見られます。
当時の製鉄炉の様子を模型で再現しています。バスタブ状の製鉄炉本体や空気を送り込むフイゴの形などがよくわかります。
木瓜原遺跡はBKCを造成する過程で発見され、一部を保存しています。遺跡は7世紀頃に製鉄や製陶から梵鐘の鋳造までを行っていた場所とされ、クインススタジアムの地下に保存されているのは製鉄炉として使われていた部分です。現在は事前申込制で公開を行っており、古代史を研究している市民サークルやゼミ、新入生のクラスなどが見学に訪れています。もともとBKCは理工学部の移転に伴い建設されたキャンパスです。その場所で、ものづくりに関係する遺跡が発見されたことは非常に縁のあることだと感じています。
株式会社クレオテック滋賀管理課では、木瓜原遺跡の設備管理や見学申し込みの受付を行っています。遺跡では常時自動で排水をしているのですが、雨が続いて満水になったときなどは警報が鳴るので駆けつけます。湿度が高く、カビが発生する危険があるので、昨夏は毎週点検を行いました。他にも電気関係の設備の点検などを行います。遺跡は現在、事前に団体で申し込んでいただければ見学が可能です。毎年約30件、600人~700人くらいの方が見学されます。考古学ファンの方や、草津の歴史を学んでいる団体の見学が多いですね。他にも、BKCや衣笠キャンパスの学生が授業の一環で見学することもあります。クレオテックでは草津市のボランティアガイドの方を紹介することも可能です。貴重な遺跡なので、これからも大切に保存していきたいです。
お問い合わせ:(株)クレオテック キャンパス管理部
参考文献:「古代の製鉄コンビナート 立命館大学びわこ・くさつキャンパス 木瓜原遺跡の発掘」1994年 編集/立命館大学文学部 日本史学専攻考古学研究室
2014/9/30掲載
動物行動研究室
2014/10/16掲載
工作センター
2014/10/31掲載
RecO STUDIO
2014/11/18掲載
存心館 時計台
2014/12/5掲載
インタラクティブラボ
2014/12/18掲載
模擬薬局
2015/1/26掲載
創思館トレーニングルーム1
2015/2/19掲載
木瓜原遺跡