Career NetworkingOBOG会紹介
マレーシアフィールドワークを実施しました。
2024年9月14日(土)~16日(月・祝)、3期生および8期生が合同で、OBOG会「マレーシアフィールドワーク」を実施、有志の参加を得て、立命館西園寺塾初となる海外でのフィールドワークが実現しました。
今回のフィールドワークでは、現在マレーシアに赴任をされている3期生の塩尻篤秀さん(マレーシア三井住友銀行 社長/マレーシア総支配人)、8期生の塚本輔さん(Tokio Marine Insurans(Malaysia) Berhad Head, Corporate Strategy & Planning)のコーディネートにより、「自然・文化・宗教・歴史」をキーワードに、クアラルンプールやマラッカ市内で学びを深めることができました。また、西園寺塾修了生の赴任地を訪ねるフィールドワークは、海外で働くメンバーとも交流しながら見聞を広める機会にもなりました。
コーディネートしてくださった8期生・塚本輔さんに、「マレーシアフィールドワーク」の様子をレポートしていただきました。
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この度、3期生・8期生のOBの方々と一緒に海外フィールドワークを実現できましたことを大変嬉しく思っております。また一部のメンバーのご家族の皆様にもご参加をいただき、多様な感性と視点からの気づきをお互いに共有できましたことは、今回のフィールドワークの意義を一層高めてくれたようにも感じています。
マレーシアは、古くからインド洋と南シナ海を結ぶ海上貿易ルートの要衝であり、様々な国からの商人が集まり交易活動を行う場として栄えました。その後、葡・蘭・英などのーロッパ諸国や日本による植民地支配を経て、多民族・多宗教国家としての現在の姿を形成しており、多種多様な人や感性が共存する中で生まれた“寛容さ”や“多様性”が経済や文化の活力となっている国であり、日本とは少し趣きの異なる興味深い国です。
私は2022年4月からマレーシアに駐在しています。約40年間、日本という比較的均一な文化の国で育ちましたので、多様性が当たり前のように生活・文化に浸透しているマレーシアの社会に身を置くことがとても新鮮でもありました。今回のフィールドワークの企画・構想段階におきましては、「参加者の皆様にそういった多様性を築き上げてきた歴史や文化などを肌で感じていただく機会にしたい」という塩尻さんと私の想いが最初の一歩となりました。
今回のフィールドワークは、3日間に亘って実施しました。初日のクアラルンプール市内見学では、イスラム美術博物館を訪問しイスラム文化や芸術についての知識を深めるとともに、バトゥ洞窟などヒンドゥー様式の施設にも足を運び、マレーシアの多様な宗教観を学ぶことができました。
また、特産品である錫を原料とした工芸品を世に送り出しているロイヤルセランゴール社の工房を訪れ、参加メンバー全員が各々小槌を使って小皿を制作する体験を通し伝統工芸の素晴らしさを堪能しました。
2日目にはマラッカに足を延ばし、マレーシアの歴史と文化の交差点を訪れました。街全体がユネスコの世界遺産に登録されているマラッカでは、キリスト教会が有名なオランダ広場近辺を散策するとともに、水上から川沿いにある色とりどりの建物や古い住居群を見学し、海上交易の要衝として様々な時代と文化が融合した風景を楽しむことができました。
最終日にはマレーシア国立博物館を訪れ、それまでに足を運んだ地の歴史や変遷について学びながら先人たちの工夫や努力の歴史に想いを馳せました。今回のフィールドワークにて共にホスト役を務めていただきました塩尻さんとの対話の中からは、ともにマレーシアに身をおきつつも異なる視点からの学びや発見があることを学びました。
3日間という限られた期間ではありましたが、各地に根付いた様々な民族料理も楽しむことができ、中国様式・インド様式・マレー様式など様々な社会・文化のあり方を皆で目の当たりにし、その奥深さを知る機会にもなりました。
そして、何より、他国の文化について考えてみることが自国の文化の素晴らしさを再認識する良い機会であることも実感した一幕でした。西園寺塾のプログラムでは日本の歴史や伝統文化、日本人の自然観や世界観を深く学びましたが、頭の中でこれらと対比をすることで日本人である私たちがもつユニークな側面や強みに気付くきっかけにもなったように感じます。
私たちの社会は、もはやグローバル化という言葉が当たり前すぎるように感じるほど世界のつながりが広く、そして深くなっています。そのような中で、利他の心に裏打ちされた多様な人々の共同・連携による相乗効果を創出するためには、自分自身を知ること、そして相手を知ることの両方が大切です。今回、海外フィールドワークを実施したことで、そういった感覚を研ぎ澄ますきっかけにもなったのではないかと感じています。
3日間の非常にタイトなスケジュールではありましたが、様々な土地を訪れ、多くの学びと発見に満ちた充実したフィールドワークとなりました。3期生OBの塩尻さんとともに、海外フィールドワークという新しい切り口でのプログラムの運営に携われましたことを誇りに思います。参加メンバーの一言一言を紡げば、本当に易々と一冊の本を仕上げられるほど対話の多いフィールドワークでした。
次回フィールドワークの開催、心より楽しみにしています。