Numerical Solution By Explicit Method - 5


■ 増幅率 ■

 近似解を得るためには,刻み幅冲を設定する必要があります。しかしながら,この刻み幅冲が解析に不適切な(冲が大きすぎる)値だと,解が不安定になってしまいます(Fig.6のdt=2.5の状態)。
したがって,近似解を得る際には,冲の最低条件として,解が不安定にならないような刻み幅冲を設定する必要があります。さらに精度を上げるためにΔtに関する条件がでますが,それは次のページで説明します。

 不安定にならないような刻み幅冲はどのようにしたら求められるのでしょうか?(4)式のような線形上微分方程式においては,増幅率という概念を用いることによって,求めることできます。では,増幅率を使って,不安定にならないような刻み幅冲を求めてみましょう。




■ 数値解増幅率ρと安定条件 ■

 陽解式差分方程式(18)式を次のように変形します。

     (21)

ここで,と定義し,(21)式に代入すると次式のようになります。なお,Fig.7は増幅率ρのグラフを示します。

     (22)
Fig.7 冲/Tに対する増幅率ρの変化




 さて,増幅率ρを別の角度から見てみましょう。(22)式より,増幅率ρは次式でも表わすことができますね。

     (23)

高校で習った数列の知識を使えば,(23)式を,公比ρである等比数列{}とみなすことができますね。ここで,等比数列の特徴を思い出してください。その特徴を以下の表にまとめます。

{}の変化
     (24)
収束(安定) のとき,振動なし
のとき,振動あり
     (25)
発散(不安定)

注目していただきたいのは,(25)式です。
増幅率ρの絶対値が1より大きいのとき,数列{}は発散します。 が発散すれば,近似解cn (=+ce)も発散します。 したがって,陽解式差分方程式から得られる近似解が発散しない条件は,増幅率ρの絶対値が1以下のときです。 つまり,のときであり,これを解けば,

     (26)

という安定条件が得られます(Fig.7参考)。

 (4)式に対して,陽解式差分方程式から近似解を求めようとする際には,最低限,(26)式を満足するような刻み幅冲を設定しなくてはなりません。Fig.7に安定する区間を加筆したものを,Fig.8に示します。

Fig.8 安定区間




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