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キャリア形成科目「スポーツ健康科学セミナー」:特別講義 保健体育教員という仕事について

202672日のスポーツ健康科学セミナーでは、本学部3期生で、和歌山県田辺市立中辺路中学校に勤務する保健体育教員の井上一光氏をお招きし、「保健体育教員という仕事について」というテーマで特別講義をしていただきました。

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冒頭では、井上氏のこれまでのキャリアが紹介されました。教員になる前は大手証券会社に勤務し、営業職として活躍されていました。刺激や楽しさがあった一方で、顧客に薦めた株式が翌日に予期せず、暴落したり、利益のために本音を隠して営業せざるを得なかったりすることに、葛藤を感じることがあったようです。その経験から、「自分が本当にやりたいこと」「自分が全力で取り組めること」は何かを改めて考え、スポーツにかかわる仕事がしたい、スポーツの可能性を広げたいという想いから保健体育教員の道を選ばれたとのことでした。

井上氏は、自らの価値観や理想とする生き方を見つめ直した結果として、教員の道を選択されたことを紹介され、職業選択においては、自分自身が大切にしたい価値観を明確にすることの重要性を伝えられました。


続いて、受講学生にQRコードを提示し、学生が抱く体育のイメージについて、その場で、アンケートを実施されました。学生の回答がその場でモニターに映し出され、「楽しい」「盛り上がる」といった肯定的な意見が多く寄せられていました。

一方、井上氏から提示された資料では、20歳代の約4割が運動・スポーツを「やや嫌い」または「嫌い」と回答しており、その結果は、受講学生にとって運動・スポーツに対する認識を見直す契機となりました。スポーツが好きな学生の多い本学部では、運動に苦手意識を持つ人との間に大きなギャップがあることが示されました。このような状況を踏まえ、井上氏は、「運動は苦手でも、体育は好き」と感じられる授業づくりを目指していると説明されました。

講義では、運動や体育を苦手としてきた音楽クリエイターのヒャダイン氏の言葉が紹介され、受講生にとっては、体育が苦手な人の立場や気持ちを考える機会となりました。


井上氏は、体育授業の役割は運動能力の高い生徒を育てることだけではなく、すべての生徒がスポーツの価値や楽しさを実感できる環境をつくることにあると説明されました。その考えのもと、すべての生徒がスポーツや身体活動の価値を実感できることを重視し、「生徒にスポーツを合わせること」と「仲間と協働すること」を柱とした授業を実践されています。例えば、バレーボールの授業では、生徒が考案した「コートの王様」というオリジナルルールを取り入れています。この工夫により、運動が苦手な生徒もラリーに参加しやすくなり、仲間と協力できるようになったそうです。実際に、苦手な生徒のコメントシートには、「みんなでラリーをつなげ、チームに貢献することができた」と書かれていました。井上氏は、このような経験の積み重ねが、将来にわたってスポーツに親しむ態度や習慣の形成につながると考えているとのことでした。


また、100メートル走も個人競争ではなく、チーム戦にして、一人ひとりが設定した目標タイムの達成度を得点に反映するような工夫をされています。これらの実践は、運動能力の差にかかわらず、すべての生徒が成功体験や仲間との協力を経験できるようにすることを目的としたものです。これにより、全員の努力が結果につながり、運動が得意な生徒が苦手な生徒に助言したり、互いに応援したりする姿が自然に生まれるそうです。ほかにも、保健の授業では、グループで学習した内容をまとめて、動画を制作したり、仲間と協力して学ぶ楽しさも伝えたりするような工夫をされているようでした。井上氏は、このような経験の積み重ねが、将来にわたってスポーツに親しむ態度や習慣の形成につながると考えておられます。


本講義を通して、体育授業は、運動技能の向上だけでなく、仲間と協力する喜びや身体を動かす楽しさを実感し、生涯にわたって、スポーツにかかわる資質を育むものであることへの理解を深める機会となりました。これは、学習指導要領が掲げる「豊かなスポーツライフの実現」にもつながる考え方です。また、井上氏が自身の価値観と向き合い、証券会社から保健体育教員への転身を決意した経験から、キャリア形成において、自分が本当に大切にしたいことを見極めることの重要性が示されました。

受講学生にとって、自身の将来やキャリア形成について改めて考える機会となりました。

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