NEWS
ニュース
企画実施報告「京都サンガF.C. の事例で学ぶ「スポーツ×社会学」のデザイン」
記事作成:小野雅崇(産業社会学部4回生)
2024年6月1日、産業社会学部の学部棟である「以学館」のIG102ホールにて【Jリーグクラブとソーシャルデザイン:サッカーを核にした地域づくり】が開催されました。
本企画は、ソーシャルデザインスタディーズ実践(SDS実践)という授業の受講生を中心に、産業社会学部に設置された5つの専攻のうちの一つである「スポーツ社会専攻」の学生を対象としたもの。京都サンガF.C. (以下、京都サンガ)の関係者らが登壇し、サッカーを核にした地域づくりについてお話しされました。
会場の様子(以学館102ホールにて)
スポーツのデザイン「サッカーを、地域活性化のきっかけに」
まずご登壇されたのは、株式会社 パープルサンガで地域連携本部長を務められている柴田敏雄 氏。京都サンガが掲げる「サンガに関係する全ての人々と夢と感動を共有し、地域社会の発展に貢献する」というクラブ理念をご紹介いただいた上で、SDGsの達成に向けた「共生社会(ダイバーシティ)」「環境」「教育」「健康」の4つのテーマについて、それぞれの取り組み事例をご説明いただきました。サッカーをきっかけに、地域、行政、ファン・サポーターといったステークホルダー(関係者・団体)との連携を深められている点が印象的でした。
「サッカーを機会とした地域づくりには、きっかけづくりが重要」と語る柴田さん
行政のデザイン「行政が仕掛ける、地域活性化の取り組み」
続いてご登壇いただいたのは、亀岡市役所で生涯スポーツ課課長として務められている小林秀範 氏。京都サンガのホームタウンでもある亀岡市で取り組まれている「地域活性化」について、亀岡市全体を一つのスポーツフィールドとして捉える「かめおかまるごとスタジアム構想」についてご説明いただきました。サンガスタジアムが立地する亀岡市ならではの地域づくりについて理解を深められたと同時に、市の職員さんから聞ける「効果」と「課題」はとてもリアルで、ソーシャルデザインの観点からも学びを深めることができました。
福祉のデザイン「スポーツを通じた社会課題解決を」
最後にご登壇いただいたのは、特定非営利活動法人 京都ほっとはあとセンターで事務局事業主任を務められている澤田雄児 氏。障がいのある人の支援を行う澤田さんは、福祉分野における課題として、障がいを持った方の仕事が少ないことを挙げられました。そうした中で、障がいのある人が作ったお菓子などをサンガ協力隊と協働で販売することが、売り上げに大きく貢献しているとご紹介いただき「スポーツ×社会学」の事例に触れる貴重な機会となりました。また、京都サンガによる「障がい福祉施設利用者ホームゲーム招待」の参加者の声として「試合を見るのも楽しかった」「自分でチケットを買って行きたい。だから仕事を頑張りたい」などの感想が聞かれたといいます。
これらを踏まえると、サッカースタジアムを単なるスポーツ会場に終わらせず、「新たなライフスタイルを提案することで地域そのものを魅力ある投資先へ」していくことが重要だと語られました。
ブランドイメージを交えてお話しされる澤田さん(左)と、自身も立命館出身だという小林さん(右)
本企画の最後には、参加者が手元の端末から匿名で質問できるシステムを活用し、ご登壇いただいた方へ疑問を投げかける時間が設けられました。たくさんの質問が寄せられ、地域を盛り上げる企画についてのほか、スポーツを軸にした学びやキャリア(進路選択など)にまつわる疑問が投げかけられるなど「スポーツ×社会学」のデザインへの関心の高さが伺えました。
映し出された参加者からの質問に、丁寧にお答えいただきました