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【企画実施報告】斉加尚代監督(『教育と愛国』ほか)×森達也監督(『A』『福田村事件』ほか) ティーチイン企画
①実施概要・紹介
本学客員教授で映像作家の森達也先生による「メディア社会専門特殊講義」(後期)では、「映像制作者とともに考える、ジャーナリズムとメディア・リテラシー」をテーマに、主にドキュメンタリー作品を題材に映像視聴・ディスカッションを行い、作品制作者をゲストとしてお招きする回も設けています。本講義で最初に取り上げたのは、MBSで多くのドキュメンタリーを手掛けた斉加尚代さんの作品『バッシング——その発信源の背後に何が』(2018年)で、10月10日には斉加さんをお迎えしたティーチイン企画を実施しました。
②当日風景紹介
【『教育と愛国』上映会】
企画ではまず、斉加さんが監督した『教育と愛国』(映画版、2022年)を上映しました。同作はソフト化や配信がされていないため、多くの参加者にとっては初めて観賞する機会となりました。政治と教育の関係や、取材対象者とのある種の信頼に基づく証言、学校や研究者へのバッシングが安易に行われるプロセスなど、参加者は『教育と愛国』で提示される様々な論点を受け取り、考え込む様子が見られました。
【斉加監督×森監督ティーチイン】
上映会の後、斉加さんと森先生の対談、および参加者とのディスカッションを行いました。森先生からは、テレビ版と映画版との差異やインタビュー対象者との関係作り、テレビ局でドキュメンタリーを撮ることなどの論点がだされ、それを受けて斉加さんからは具体的な取材方法や、取材を作品に織り込むことが断られてしまったケース、作品公開後に起こりうる圧力をどのように想定したのかなど、作品ができあがるまでの詳細なプロセスが示されました。
会場から質問を受け付けると、受講生に限らず多くの学生が質問を投げかけました。社会問題を構成し、世に問うドキュメンタリーの意義と難しさについての考えを尋ねる質問や、フィクションをドキュメンタリーであるかのように演出するモキュメンタリーとドキュメンタリーの差はどこにあるのかを問う質問など、本講義の根本にも関わる議論が展開されました。予定時刻になり、一度会を閉じたあとも、複数の学生が残って斉加さんを囲い、熱心に質問をしていました。