教員紹介

FACULTY MEMBERS

言語・国際教育

上原 徳子 教授
UEHARA NORIKO

専攻

言語・国際教育

専門分野
中国文学
研究者学術情報データベース

研究テーマ

中国古典小説とそのパロディ・スピンオフ・映像化作品と読者や観客の受けとめ方についての研究

おすすめ書籍

金文京『三国志演義の世界【増補版】』東方書店、2010年
井波稜一『『紅楼夢』の世界 きめこまやかな人間描写』臨川書店、2020年

私はおすすめの書籍として、上記2冊を挙げます。 一冊目は、日本でも知られている『三国志演義』について、「歴史と小説」「歴史から小説」という切り口、さらにはこれに関わる専門的な研究について、わかりやすく書かれた名著です。その本が成立する過程を知ることで、より深く小説を楽しめるようになるでしょう。 二冊目は、私自身が「世界最高の小説の一つ」と信じて疑わない『紅楼夢』について書かれた本です。長い小説ですので、まずはこの本にある「あらすじ」から入って親しむのも良いと思います。今風に言えば、セレブな一族で繰り広げられる華麗なる人間模様(もちろんドロドロとした部分も含みます)と、若者達の恋愛を描いた小説です。中国の昔のおはなしでしょ、と突き放さず読んでみてください。きっと胸打たれる瞬間があると思います。

学生時代の思い出

私が学生時代最も夢中になったのは、勉学ではなく「能楽部」の活動でした。大学入学前は全く接点のない世界でしたが、入学後に観た薪能でその世界に惹かれ、その後は謡・仕舞だけでなく大鼓と小鼓のお稽古にも励み、当時の学生能の舞台も行ける範囲で観に行くくらい打ち込んでいました。そして4回生の時には能「田村」の前シテをさせていただきました。一生忘れられない瞬間でした。

私は、能楽部の活動を通して多くの人と関わりました。仲間達とは、時には激しくぶつかり合うこともありましたが、自分が最も成長できた素晴らしい時間だったと、今は誇りに思います。もちろん、プロの先生の舞台もたくさん観ました。これも自分にとっては大きな財産だったと思っています。 自分は学部時代のほとんどを能楽部の部室で過ごしたといっていいくらいです。でも、それがなかったら今の自分はいません。私にとって、それは何にも代えがたい大切な経験といえます。

現在の学問分野に決めた理由

私は、小学生の時にNHKの『人形劇 三国志』に夢中になりました。毎週放送を楽しみに待っていましたし、当時は録画する機材が家になかったので、カセットテープに放送を録音し、何度も何度も暗記するほど聞きました。あまりに夢中なので、父親が関連の書籍をいくつか買ってきてくれました。その時、漢文というものに初めて触れました。

高校生になって、中国の古典文学に興味を持つようになりました。そこで、高校の図書館にあった「中国古典文学大系」シリーズを読みましたが、特に小説の部分を面白いと思いました。進路を決める頃には、まず大学で中国古典文学を専攻し、高校の国語教員となって郷里に帰ろうと思うようになりました。が、まずは大学院に行こう、せっかくなら留学に行こう、とやりたいことをやっているうちに、気づけば博士後期課程に進んでいました。私は、子ども時代の自分の「好き」の気持ちのままに今に至ってしまいました。
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