教員紹介

FACULTY MEMBERS

メディア社会専攻

根津 朝彦 教授
NEZU TOMOHIKO

専攻
メディア社会専攻
専門分野
日本近現代のジャーナリズム史、思想史
研究者学術情報データベース

研究テーマ

戦後日本のジャーナリズムの歴史、新聞記者・報道・ニュース研究、テレビのドキュメンタリーが迫る社会問題

おすすめ書籍

・小和田次郎(原寿雄)『デスク日記』全5巻(みすず書房、1965~1969年)
※上記のダイジェスト版『原寿雄自撰デスク日記 1963~68』 (弓立社、2013年)もあります
・有山輝雄『近代日本ジャーナリズムの構造――大阪朝日新聞白虹事件前後』(東京出版、1995年)
・根津朝彦『戦後日本ジャーナリズムの思想』(東京大学出版会、2019年)
・根津朝彦『戦後『中央公論』と「風流夢譚」事件――「論壇」・編集者の思想史』(日本経済評論社、2013年)
・小熊英二『〈民主〉と〈愛国〉――戦後日本のナショナリズムと公共性』 (新曜社、2002年)
・エドワード・W・サイード(大橋洋一訳)『知識人とは何か』(平凡社ライブラリー、1998年)
・森嶋通夫『学校・学歴・人生――私の教育提言』(岩波ジュニア新書、1985年)
・小田実『何でも見てやろう』(講談社文庫、1979年)

大きくいえば、ジャーナリズムと知識人に関心をもってきたことがわかります(列挙した本の著者全員が男性なのは課題です)。大学図書館のサイトに上記の本を含めて下記、おすすめ本が載っていますので、そちらも参考にして下さい。
https://www.ritsumei.ac.jp/lib/d05/010/kic/nezu/

学生時代の思い出

学生時代は映画サークルに入っていました。映画は総合芸術といわれるように、映画サークルには、多くの個性的な人が集っていました。そこでは海外一人旅をする先輩が多く、私も学生時代、国内はもとより、イラン、中国雲南省、アイルランドに行きました。旅先で多くの人に親切にしてもらい、当たり前といわれるかもしれませんが、国家とそこで暮らす人とは異なることを体感しました。今でもゼミ生や授業の受講生には、視野を広げられる国内外の一人旅をすすめています。

映画サークルの活動の中で、先輩の影響もあって、写真撮影にはまり、東京六大学の応援団の写真撮影に熱中しました。所属大学だけに限らず、六大学全ての応援団の春夏の合宿や神宮球場の試合などの撮影に熱中しました。他者を一生懸命、応援するかれらの姿に、こちらも大分影響されたような気がします。それから1960~1970年代的なものに関心があり、永島慎二『フーテン』や『ガロ』のマンガが好きで、阿佐ヶ谷など中央線沿線(や京都)の名曲喫茶などにもよく通いました。広い意味で、文化的なものに関心があり、大学では学生に京都文化案内リストを配布したり、京都の三大古本まつりの紹介もしたりしています。

現在の学問分野に決めた理由

昔から人に興味がありました。はっきり覚えていませんが、高校生までテレビのドキュメンタリー的な番組を観ていました。映画鑑賞や、上述した応援団の写真撮影も、ドキュメンタリーやジャーナリズムに結びつくような経験です。

ただ一番大きいのは、映画サークルのように個性的な人が集う創造的場の条件とは何だろうかという問題意識です。それが現在の学問分野に通じる糸口になりました。私自身その興味の対象になったのが、京都大学人文科学研究所で学際的な共同研究を牽引したフランス文学者の桑原武夫(1904~1988年)です。桑原武夫は、『世界』『中央公論』『文藝春秋』の総合雑誌や全国紙で精力的な評論活動を行っていた人物であり、そこから「論壇」(知識人の言論界)とジャーナリズムに興味をもつことになります。大学院では、戦後『中央公論』と「論壇」を研究しましたが、立命館大学(の所属学部メディア社会専攻)に着任することで、「論壇」を通した出版ジャーナリズム史から、一層、報道の側面に迫る新聞記者を中軸とする戦後日本のジャーナリズム史を研究するようになりました。
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