教員紹介

FACULTY MEMBERS

メディア社会専攻

瓜生 吉則 教授
URYU YOSHIMITSU

専攻
メディア社会専攻
専門分野
メディア論、文化社会学
研究者学術情報データベース

研究テーマ

マンガの読者論・メディア論、メディア文化としての競馬の歴史社会学、戦後日本社会におけるテレビの文化研究

おすすめ書籍

ウィリアム・W・ケリー(高崎拓哉)、『虎とバット 阪神タイガースの社会人類学』、ダイヤモンド社、2019年

本拠地は兵庫県(西宮市)なのに「大阪」代表のように見られ、勝てばファンは大騒ぎ、負ければどぎついヤジを投げかけられ、関西ではテレビでも新聞でも選手や監督の一挙手一投足がつぶさに伝えられる阪神タイガースとは何か? 本書は、この不思議なプロ野球球団を丹念に探った一冊です。著者は日本で阪神タイガースについての予備知識がない(だから偏見も持っていない)外国人として、つまり「他者」として、この球団に関わる人々の観察を始めます。そして、阪神タイガースについて考えるには、選手や監督、コーチなど野球の試合に参加する人だけでなく、フロントや親会社という経営者、甲子園球場のスタンドで熱烈な応援をするファン、こうした人々の言動を伝えるメディア、さらには「関西/大阪」という地域の歴史をひっくるめた「スポーツワールド」という見方が必要だと主張します。本書の記述は1996年から2005年、「暗黒期」を経て(当時)18年ぶりのセ・リーグ優勝にいたる時期に行われたフィールドワークがメインですが、最終章で2010年代に起きた変化にも触れています。立場の違う人々の様々なコミュニケーションが織りなすひとつの<社会>のあり方が、この本には濃密に描き込まれています。

学生時代の思い出

授業に出て、アルバイトをして、友人たちと飲みに行ったり麻雀やカラオケをしたりと、1990年代初頭の大学生としては(たぶん)平均的な学生生活を送っていました。世の中は(末期の)バブル景気にわいていましたが、派手に遊べるほどのお金はなかったので、家でテレビを朝まで見たりファミコンやスーファミをしたり、趣味の競馬(馬券は買えません)のためにスポーツ紙や競馬新聞を何紙も読んだり、マンガや雑誌を買いあさったりと、インターネット以前の「マスメディア」にどっぷりとはまっていた、というのが一番の思い出でしょうか。仕事に追われる現在から振り返ると、「無駄」な時間を自分のしたいことだけに費やすことができた、それはそれで幸せな時期だったように思います。

現在の学問分野に決めた理由

上記したように「マスメディア」にはまりながら、同時に、「なぜ自分は街で遊ぶよりも家でテレビを見たり本を読んだりゲームをしたりする方が好きなんだろう?」とも思っていました。現在ではアイドル界隈で言われる「現場」という言葉(の使い方)は当時はなかったはずですが、出来事の「現場」そのものよりも、何かを「現場」にいない人に伝える<メディア>のありかた、そして<メディア>を介して人々がいろいろなイメージ(夢や希望や妄想)を抱くありかたの方に興味があり、「メディア論」や「文化社会学」という学問分野に進みました。
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