教員紹介
FACULTY MEMBERS
メディア社会専攻
近藤 和都 准教授
KONDO KAZUTO
研究テーマ
メディア論、映像文化の受容研究、メディア・インフラストラクチャー研究
おすすめ書籍
加藤幹郎『映画館と観客の文化史』中央公論新社、2006年
学生時代の思い出
忙しくなったいま振り返ると、学生時代はとても贅沢な時間の使い方をしていました。私が通っていた大学のまわりには数多くの古本屋があり、講義の合間にぶらぶらと歩きながら、書店ごとに異なる本のラインナップや並べ方を楽しみ、ときには背伸びして、結局読むことはなかった大作小説などを当座の食費を切り崩して買っていました。少し歩くと2本立て上映を行う名画座があり、自分の検索に引っかからなかったであろう作品に出会うことができました。しかも大学には、あらゆる分野においてとんでもなく知識を持つ人たちがいて、自分の読書・鑑賞体験を彼ら・彼女らに話すと終わらない議論が始まりました。都市部の大学だからこその経験なのだと思いますが、メディア文化をめぐる人やモノ、場所のネットワークを体感したことが、いまの自分の研究上の関心を形作っているように思います。
現在の学問分野に決めた理由
もともと、私たちの日常生活に深く組み込まれている映像文化のあり方に興味があり、特にニュース報道が私たちの世界認識をどのように作り上げるのかといったテーマに関心を持っていました。ですが、大学2年生のときに映画学を専門とするコースに進級して、同じ映画を見ていたとしても自分とは全く異なる楽しみ方をする人々に出会ってから、メディアが作り出す共通感覚よりも、メディア経験の差異やそれを生み出す条件が気になり始めました。彼ら・彼女らの多くはいわゆるシネフィルといえる人たちで、良い友人関係を築いていたからこそ、強烈な異文化体験となりました。同じような社会階層・教育環境なのに文化的なものをめぐる感性が大きく異なるのはなぜなのか、どのような人が「シネフィルになる」ことができるのか、こうした問いを個人的な問題として片付けるのではなく、社会的な側面から理解したいと思い、メディア論と社会学に軸足を移していきました。