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講演会「Jリーグクラブ京都サンガF.C.とソーシャルデザイン:サッカーを核にした地域づくり」を開催しました

 産業社会学部の教学上の特長として、社会問題の解決に取り組む人材の育成があります。そうした人材を育成するカリキュラムの一つとして、ソーシャルデザインプログラムがあります。実社会における社会問題の解決を座学から実践まで一貫して学ぶプログラムです。  その1つに、株式会社京都パープルサンガ様にご協力を頂き実施しているプログラムがあり、同プログラムの一環として講演会を開催しました。京都サンガF.C.は「地域と共に歩むクラブへ」を掲げられており、このような(プロ)スポーツ(チーム)を通じたまちづくり、地域の活性化はどのように行われ、どのような課題があるのか、核となるプロスポーツチームや、チームが存在する自治体、チームを支える地元企業、それぞれの立場から実態を語って頂き、社会におけるスポーツの役割について考え、将来スポーツに関わる仕事の担い手となるイメージを形成してもらうことを狙いとして開催しました。講演会は、広く学生に公開される形で開催され、多くの参加者を集めて行われました。

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 まず、株式会社京都パープルサンガ地域連携本部本部長柴田敏雄様からは、Jリーグの活動方針に基づくクラブ理念「サンガに関係する全ての人々と夢と感動を共有し、地域社会の発展に貢献する」を掲げ、2025年5月には京都府内全26市町村とのホームタウン協定締結を実現されたことが紹介されました。そして、2024年度だけでも472回に及ぶホームタウン活動を展開され、その内容は多岐に及び、サッカーだけでなく子どもたちの成長や地域課題の解決、障害を持つ方の社会参加促進、地域の魅力発信等、様々な取り組みが行われていることが紹介され、同クラブが競技活動だけでなく、共生社会の実現、地域振興に力を入れて取り組まれている様子が説明されました。

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 次に、京都サンガF.C.が所在する自治体として、何よりご自身も熱烈な京都サンガF.C.サポーターである京都府総合政策環境部地域政策室長吉田宏則様よりお話を頂きました。同地域政策室として、年間約5000万人が訪れる大観光地京都市の観光客に「もう一つ」「さらに足を伸ば」してもらえるようその魅力を紹介するために、京都市以外を「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」「竹の里・乙訓」という府域に分けて捉える「もうひとつの京都」構想を推進していることが説明されました。その中でサンガスタジアム by KYOCERAは、「森の京都」の真ん中に位置し、京都市から北部への入り口となる「周遊・滞在型観光のゲートウェイ」と位置付けられていること、同スタジアムやその周辺地域を活用したイベント等の取り組みは進んでいるものの「観戦」のみから「滞在・周遊」へつなげるためにはまだ不十分で今後の課題であること等が説明されるとともに、その解決に対する学生の力への期待も語って頂きました。

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 最後に、民間企業の立場として京都サンガF.C.のゴールドスポンサーでもある西日本旅客鉄道株式会社より近畿統括本部京滋支社副支社長杉山幸介様にお越し頂き、同社の進める地域共生の取り組みについてお話し頂いた。まず、人口減少に伴う鉄道利用人口の減少が予想され、またコロナ禍を経て収益の多角化が求められる中、社として地域共生の深耕による「住みたい街」「訪れたい街」の実現を通じた地域活性化と同社の成長の相互関係が重要になることが説明されました。そのための取り組みの一つとして京都サンガF.C.との連携では単なる試合時の観客輸送にとどまらず、機運醸成やファン層拡大、地元飲食店への送客等、クラブ、地域と連携した取り組みが紹介された他、広告としての車両活用、移住定住の促進や観光地の多極化等、公共交通機関である立場を活かした取り組みも紹介されました。

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 その後の質疑応答では、亀岡にスタジアムができたことをそれぞれの立場からどのように評価するか、全市町村がホームタウン協定を結ぶことの価値はどのようなところにあるか、等、多くの質問が寄せられました。同じ質問でも立場が変われば見方が変わりますが、大局的にはやはりどなたも地域、社会とともに成長、発展するという考え方は共通していることが確認される機会となり、学生にとって、単にスポーツを通じたまちづくり、スポーツビジネスの現場におられる方々から話を聞く機会になっただけでなく、多角的にスポーツを捉え、社会におけるスポーツの役割やその影響を及ぼす範囲について考える貴重な機会になりました。学生からも「お一人ずつもっとお話を聞きたかった」、「今まで気づいていなかった新しい視点に気付くことができた」等、有意義な時間になったと思われる感想が多数聞かれ、充実した学びの機会になったようでした。
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