さんしゃの⾵景

VIEW

【メディア社会専門特殊講義】森達也監督と是枝裕和監督による特別講義が開催されました

2025年12月3日、客員教授の森達也監督と是枝裕和監督による特別講義が開催されました。講義はおふたりの対談形式で、かつては日常的に見られたテレビ業界におけるハラスメントの実態や、時代の変化に伴う働き方、制作現場の変容について率直な意見が交わされました。また、テレビ離れが進む背景には、技術や社会の変化に対して、テレビの世界が十分に対応できなかった側面もあるのではないかという問題提起もありました。


topics_20251203a

さらに、テレビが本来持っていた刹那性やポジティブな側面だけでなく、社会の影を映し出すネガティブな側面こそが、テレビというメディアの多義的な強みであったとの指摘もありました。一方で、視聴者からの厳しい視線やBPOの役割についての誤解などが制作現場を委縮させ、表現の幅を狭めている現状についても言及されました。放送倫理の重要性を認めつつ、「公平性」の拡大解釈による政治的介入への懸念も示されました。

講演後の質疑応答では、多くの学生が積極的に質問し、活発な議論が交わされました。是枝監督は「自分が何に夢中になれるのか、そこから何を発見できるのかという視点が重要であり、そのためには対象に誠実に向き合う姿勢が欠かせません」と語りました。
講演後はサインや写真撮影を求める学生の長い列ができるなど、終始盛況のうちに終了しました。


topics_20251203b

本企画は、森監督が産業社会学部で開講している「メディア社会専門特殊講義」(秋学期)の一環として企画・開催されました。同講義では、「映像制作者とともに考える、ジャーナリズムとメディア・リテラシー」をテーマに、主にドキュメンタリー作品を題材に映像視聴・ディスカッションを行い、作品制作者をゲストとしてお招きする回なども設けています。

一覧へ戻る