卒業論文の作成


卒業論文は、大学生活の学修・研究の総仕上げであり、全精力を傾けて取り組まなければならない課題です。内容的には、日本史学界の研究水準を踏まえた、自己の問題意識に応えられるものであることが期待されます。そのためには周到な計画と準備、綿密な史資料の収集、粘り強い探究心と構想力、不屈の精神力が必要です。卒業論文の指導は「専門演習V・W」の担当教員が「卒業論文」という科目を設定して行います。各自の担当教員には日常的に指導・助言を仰ぐことが必要です。また積極的に非常勤講師の先生方や学内外の諸先学に意見や批評を求めることも大切です。自主ゼミや研究会などの場も大いに活用すべきです。


論文作成の準備

1. テーマの選定
テーマは論文の出発点であると同時に帰着点でもあります。いかに多くの史料を漁り労力を費しても、明確な問題意識によって定められたテーマをもたないかぎり、良い論文はできません。

2. 研究誌の整理と史料
テーマに関連する研究がどこまで進み、何が問題として残されているかを知るために、研究史の整理はたんねんにやらねばなりません。次には史料の有無の点検が必要です。いかに問題意識が鋭くても、史料がないか、あっても利用できなければ、歴史学の論文にはなりません。

3. 史料の蒐集
史料の蒐集は徹底的・網羅的に行うことが大切です。史料はできるだけ原文・原史料にあたり、原史料にあたり難い古文書・古記録の場合は、写真や影写本によるか、あるいはもっとも信頼のおける刊本を選ばなければならなりません。他の論文等に引用されているものをそのまま利用する、いわゆる孫引きは、誤読・誤解のもとであり、なるべく避けるようにして下さい。



論文の叙述について

1. 論文構成
史料を集め、研究がある程度進んだ段階で、論文の構成を考えます。論文構成(章節立て)にはいろいろな型がありますが、基本的には序論・本論・結論の三つの部分から成ります。序章では問題の所在を明らかにし、どういう角度からどのような方法で追究するかを記します。本論では分析・実証を行い、結論は序論と対応しながら全体として明らかにした点を要約し、できれば展望を記します。論文構成が新たな史料や研究によって変更を余儀なくされることは、誰もがしばしば経験することであって、あきらめずに何度も構成しなおす根気と努力が必要です。

2. 論文執筆
執筆にあたって大切なことは、自分の主張点を理解させるに十分明確な論理のはこびを工夫することと、学術用語については意味を的確につかみ、あいまいな用語を決して使わないことです。註記もなく他人の文章をそのまま持ち込むようなことは論外であって(これを剽窃といいます)、何よりも自分の文章(考え、ことば)で書かなければいけません。



論文叙述と原稿用紙記載上の注意

1. 論文の枚数と用紙
論文は、手書きの場合、本文30枚以上50枚以内(400字原稿用紙)とします。ワープロの場合、本文12,000字以上20,000字以下1ページあたり40字×30行)となります。本文は縦書きとし、A4判400字詰原稿用紙を横長右とじにして用います。二つ折りは不可。なお表紙はA4版黒色硬質ファイルを用います。手書き・ワープロ共に可。

2. 文体
「である」「であった」を用い、「です」「ます」調は不可。

3. 文字・仮名遣い
地の文(本人の文章)は常用漢字ほか現用漢字、現代仮名遣いでかまいませんが、引用文は原仮名遣いを尊重します。引用文・史料における旧漢字・異体字・変体仮名の扱いについては、時代や史料の性格によって異なるので、各ゼミでの指導方針に従うこと。漢文史料は、軽々しく読み下し文には改めないようにして下さい(原文に句読点・訓点をつければよい)。句読点や「」()も一字一マスをあて、誤字・脱字に注意して丁寧に記すこと。行間への書き入れなどはしてはいけません。

4. 章節
論文構成にしたがって必ず章節を立て、章節の題名を記すこと。表示は一・二・三・・・でもよいです。

5. 改行
章節のはじめの書き出し、および改行のときは一字下げて書きはじめること。

6. 史料・引用文
史料や引用文は「」をつけ、註で出典・典拠を明示します。自分の文章に書き直したときも、必ず註で拠点を示すこと。長い引用文は行を改め、本文より全体を1〜2字下げて書くこと。この時は「」は不要です。

7. 註
註は本文の当該箇所へ@Aなどの番号をつけ、論文の最後にまとめて番号を再掲し、そこに註記します。章節ごとに区切らず一連番号にすること。出典を出すときは、著者・書名(雑誌名)・ページ・発行年月(巻数号数)・発行所などを明記します。なお、註および補註は枚数・分量制限のなかに入りません

8. 図表・地図
適当な用紙を使ってよいが、所定の論文用紙に貼付したり折り込む処理をします。転載したものに関しては、出典、ページ数を明記すること。

9. 目次
表紙の次の1枚(=ページ)に論題・学生番号・氏名などを再掲し、その次に(必要ならさらに1枚を加えて)章節の題名および各章節のページ数を記入した目次を必ずつけること。

10. ページ
本文各ページの下中央に打ちます。目次には打ちません。

11. 参考文献
一括して付載・連記する必要はありません。参照した文献は註にその都度明記すること。

12. 試問に向けての心構え
卒論は1月末〜2月中旬頃に口頭試問を行い厳正に審査します試問日は別途文学部ホームページで発表するので注意して下さい。なお、論文は試問終了時に返却しますが、予めコピーをとっておき、他の参考資・史料とともに試問の際に持参して下さい



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