立命館大学 エクステンションセンター

独立開業

会計士のキャリアは十人十色。 活躍の場はさらに広がっています。

荻窪 輝明さん

2001年法学部卒業後、証券会社に入社

2007年監査法人に入所

2018年公認会計士事務所を開業

Q. 公認会計士を目指すまでの経緯について教えてください。

法学部を卒業後、証券会社の営業職を経て、公認会計士を志しました。

 高校時代は将来の夢がまだ明確でなく、法律を学べば将来の選択肢も広がるだろうと考えて法学部に進学しました。大学の同級生には弁護士や国家公務員を目指す人が多く、自分もいつか難関資格を目指したいという気持ちをおぼろげに抱いていたものの、当時は一歩を踏み出すことなく、卒業後は証券会社の営業職として勤務しました。業務はハードながらも充実した日々を過ごす一方で、自分にとって一生続けられる仕事ではないかもしれないと思うようになり、約5年で退職。次の道を模索していたところ、家族から公認会計士の予備校を勧められ、1年間学業に集中して資格取得を目指すことにしました。仕事を辞めて収入が断たれた状況でのチャレンジだったので、絶対に1回で合格するという強い気持ちで臨み、無事合格することができました。

Q. 合格後、現在の独立開業に至るまで、どんな経験を積まれたのですか?

監査法人やコンサルティング会社でさまざまな業務を経験しました。

 国家試験に合格した後、大手の監査法人に就職しました。私の場合は証券会社出身だったため、株式上場部という部門に所属し、株式公開支援業務と監査業務を兼務。証券会社の仕事と株式公開業務は近い部分があるので、これまでの経験も活かしながら業務にあたることができました。
 監査法人で約4年勤めた後、監査以外のスキルも身につけたいという思いから、コンサルティング会社に転職。経営コンサルティングや事業再生、組織再編、財務デューデリジェンス(企業のM&Aの際に行われる財務調査)など、監査以外のあらゆる業務に携わりました。会社の業務以外にも、セミナー講演や書籍の執筆など個人としての仕事も並行して行うようになり、約1年半、多忙な日々を送りました。
 その後、公認会計士の本分に立ち返ってもう一度監査業務に携わりたいと思い、再び監査法人に転職。初めに就職した監査法人より規模が小さく、マネジメントや意思決定にも携われる立場で働けたことは、貴重な経験になりました。5年半ほど経った頃、コンサル時代から続けてきたセミナーや執筆、さらにファイナンシャルプランナーとして個人的に引き受けていた仕事など、会社以外の仕事のウェイトが大きくなってきたため、退職して独立開業することにしました。

Q. 現在のお仕事内容について教えてください。

公認会計士としての知識や経験を活かし、多岐にわたる仕事に携わっています。

 独立開業の形は人それぞれ異なりますが、私の場合は主に、M&Aを予定する会社を支援して、調査(財務デューデリジェンス)から手続きまでサポートする仕事や、株式公開を目指す会社の社内体制づくり、申請書類の作成支援などに携わっています。監査法人勤務時代から続けてきた講演や執筆の活動もさらに広がり、現在は出版社・事業会社・団体・学校などからの依頼によるセミナーや研修、書籍・雑誌・Webでの記事執筆、新聞や雑誌で専門家の見解を求められる際の取材対応のほか、テレビ番組へのレギュラー出演、大学での非常勤講師など、現在の仕事は多岐にわたっています。
 さらに、開業という形を取りながらも、税理士法人のディレクター職も兼任しており、ブランディング向上のための活動や、上場企業の決算開示に備えるための手続きや処理の支援にも携わっています。

Q. 公認会計士の仕事のどんなところに魅力を感じていますか?

働き方や働く場にとらわれない、多様な選択肢が魅力です。

 時間や場所、仕事内容、仕事相手を、自らの責任のもとに自由に選べることは、独立開業ならではの醍醐味だと思います。もちろん仕事は自分で探さなければいけないので、組織で働くよりもシビアな環境に身を置くことになります。とはいいながら、自由裁量のもとで自分が望む業務に向き合い、一生涯にわたって勉強を続けながら、自分の成長を追い続けられるのはとても幸せなことだと感じています。まだまだ道半ばですが、これからも多くの出会いを大切に、新たな仕事を通じてよりよい未来を創っていけることを本当に楽しみにしています。
 組織にいても独立しても、公認会計士として携わることのできる仕事の範囲は幅広く、働き方や働く場にとらわれない多様な選択肢が広がっています。これから資格取得を目指す方には、時間と費用を投じてチャレンジする価値がある資格だと自信を持って伝えたいです。