Reportレポート・参加者の声

[レポート]東北を知って学んで食すオンラインの旅「0泊2時間東北食べるツアー ~生産者と語ろう~」第2回<岩手県釜石市・ドンコ>

image_2021.6.18donko

「0泊2時間東北食べるツアー ~生産者と語ろう~」とは?

自宅に届く東北自慢の食材とともに、生産者とオンラインでつながる全6回のイベント。食を通じて、東日本大震災から10年を迎える「東北の今」に触れる取り組みです。
立命館災害復興支援室の設置10年の節目に、東北6県の農家・漁師の姿を伝え続ける「東北食べる通信」とのコラボレーション企画が実現しました。時間も距離も越えたつながりから、参加された方々にとってさまざまな気づきや学びを得ていただくことを目的としています。また、東北を応援する新しいつながりを模索したいと考えています。

ツアー当日の様子をご紹介!

2021年6月19日(土)、第2回目を開催しました。今回は、岩手県釜石市より、「第三漁裕丸」船長佐々木洋裕さんが獲った「ドンコ」。学生・校友・一般の方、あわせて20名が参加しました。
天然ものの深海魚・ドンコ。天候により出漁できたのか、網にドンコがかかったのか。開催3日前から、漁師の佐々木さんによる海と向き合うリアルな声をのせた「漁具合レポート」が参加者に届けられ、当日を迎えました。

佐々木洋裕さんによる漁の解説!

岩手県釜石市とつなぎ、佐々木さんとご対面。旅がスタートしました。
まずは、釜石市の尾崎白浜漁港から若手漁師・岸さんとつなぎ、佐々木さんの船、カゴや網の紹介。
seminar-view_2021.6.18donko01
続いて、佐々木さんが営まれている「カゴ漁」について、動画やイラストを用いながら解説。
水深120m以上の深い海に餌をつけたカゴを仕掛ける「カゴ漁」。真夜中に船を出航し、約10~12時間漁に出ます。約100個のカゴが付いた1本2000メートルのロープを上げ、カゴに餌を補充してまた海に戻すのに約1時間。1日に合計6~7本のロープを上げます。動画では、空が真っ暗闇の状態から朝焼けが見えるまで、波で揺れる船の上でカゴを上げる様子を配信し、船の上での漁の流れについての解説がありました。
seminar-view_2021.6.18donko02
実際に使用するカゴを用いてカゴ漁を解説(左)ドンコと毛ガニを獲る様子(右)
seminar-view_2021.6.18donko03
次の漁場への移動中、船上でドンコを箱に詰める様子(左)ドンコと巨大なタコを獲る様子(右)

ドンコの捌き方講座!

調理場に移動し、ドンコの捌き方講座がスタート。ドンコの特徴的な口から出る胃袋や内臓、濃厚な肝を取り出す工程から、柔らかい身を三枚おろしにするまで、一連の捌き方について詳しく解説がありました。また、ドンコのほかに当日獲れた魚も紹介されました。
seminar-view_2021.6.18donko04
seminar-view_2021.6.18donko05
佐々木さんおすすめの食べ方は天ぷら・からあげ(左)当日獲れた魚<ウスメバル、キツネメバル、ニジカジカ、つぶ貝など>(右)

佐々木洋裕さんとのトークセッション

続いて、佐々木さん、岸さんと参加者によるトークセッションを行いました。参加者からはドンコの市場での売られ方、釜石の海で獲れる魚の変化、漁師としての働き方などに関する質問が寄せられ、釜石で沖に出て魚を獲る・漁船漁業で生計を立てる数少ない漁師として、日々海と魚に向き合う佐々木さんならではのお話がありました。
seminar-view_2021.6.18donko06
岸さん(左)、佐々木さん(右)

10年前の東日本大震災では、地震発生直前の海での異変、ご自身の船も含む多くの船が海に流される様子を防波堤から目の当たりにされた話、がれき撤去作業をしながら船を探し漁を再開するまでの話など、当時の状況についてお話がありました。
参加者からは、漁師としての地震・災害との向き合い方、今後の目標などの質問が寄せられました。最後に、一人ひとり佐々木さんに向けて企画の感想が寄せられ、2時間の企画を終えました。

参加者の声

(一部抜粋)
・震災についても佐々木さんの当時の心境やその後どのように考えていらしたのかが知れて、震災や津波をどう考えていくのか、学ぶことができた。
・大変な状況を乗り越えていらっしゃる漁師の方の姿を拝見でき力をいただいた。
・東北はとても遠いところでなかなか足を運べないところだが、まずはオンラインで心の距離が近づき、実際に足を運んでみようと思った。
・ドンコってどんな魚なんだろうと大変興味を持って参加した。漁師さんが獲ってくれた魚を送っていただき、実際に食べることができるという企画が面白かった。
・サークルで岩手県に足を運んだことがきっかけで岩手に興味があり、食について知りたいと思って参加した。美味しく食べたい。
・消費者と生産者と直接つながる企画、またそれが復興支援のひとつにつながることをとても嬉しく感じた。


関連情報

第1弾「0泊2時間東北食べるツアー ~生産者と語ろう~」<岩手県山田町・赤皿貝>

立命館災害復興支援室10周年特設サイト
立命館の復興支援の歩みやスペシャルムービー、立命館関係者を対象に募集した”つむぐ思い出”写真の応募作品などを掲載しています