参加学生によるプログラム・レポート

アクティビティレポート⑤(2015年派遣:インドネシア大学)

Indonesia  | 2016年03月03日

国際関係学部 黒澤有紀さん(3回生)

私が、インドネシア留学経験を経て得たことは二つに大別することができる。一つは人との出会い。そして二つ目は本格的な開発協力への関心の芽生えである。いずれにせよ本留学は総じて実りあるもので、私の人生を大きく変えた経験であったこと、さらには自身の価値観を大きく変えたことを先に述べておく。では、留学経験で得た二点について深く述べていきたいと思う。

一点目の人との出会いは、インドネシア大学で出会ったインドネシア人学生、国際学生、日常生活で接点を持つ人々、インドネシア人ビジネスマン、日系企業で務める日本人ビジネスマン等々と交わる機会の多さにあった。
中でもインドネシア人は明るく人懐っこいところがあり、日本人である私を容易に受け入れてくれ、友達や家族のように扱ってくれた。ヨーロッパ在住経験のある私にとって、インドネシア人の様に人との関係構築で敷居が低いことに最初は戸惑ったが、全ての人を人種や宗教、国籍に関係なく無差別に受け入れてくれる温厚さと寛大さを次第に有り難いと感じるようになった。
インドネシア人以外の出会いでは、日本人をはじめ国際学生間で出会いの挨拶と共に「沢山ある留学先から、なぜインドネシアを選んだのか。」という会話を交わし、打ち解けていくことが多かった。その問いには、十人十色ながらも学生がそれぞれ堅固な志を持ち、インドネシアへ留学に来ている考え方に共感できるケースが多く、高い志を持った国際学生と関わることができたことも留学の収穫であった。

二点目の開発協力への本格的な関心の芽生えについて、私が実際にインドネシアを訪れて現地の状況について現場から把握し、得たものだ。「多様性の中の統一」というパンチャシラのスローガンにもみられるように、インドネシアには多様な民族と文化が入り混じっており、国土も人口も広く大きい。その中で国内の経済開発に格差があることは渡航以前から学習し、理解していた。
しかし、いざ現地へ訪問すると高級車を乗り回す高所得層と物乞いをして生活している人々をそれほど遠くない場所で同時に見ることができ、その格差について漸く認識したときには凄まじいショックを受けた。日本人として社会の構成員ではなく外側からインドネシアの社会構成員たちを俯瞰した時、内部にいるインドネシア人よりも残酷さを感じるのだろうと感じ、格差社会に大きく失望した。
その失望から何日もかけて、昨日より今日、今日より明日、少しでもインドネシアの人々の幸せに私自身が貢献できることは何か、ということについて真剣に考え行動するようになった。具体的には。次世代の子どもたちにより良い社会を築いてもらうために、現地のNPOで環境教育プロジェクトに参加したり、継続的にe-educationを用いて子どもたにに英語を教えるボランティアにも徹した。
私がインドネシアの人々にできたことはほんの一部に過ぎず、長期的なフローから見ると一過性のもので、際立った効果も得られなかったかもしれない。しかし、子どもや貧困層等社会的弱者と言われる人々に対して小さくとも希望を与えられたかもしれない、その希望が子どもたちの夢となり国が今後もっと良くなるかもしれない、と考えた時、私は心からインドネシアで開発協力に携わることができて良かったと思えた。開発は利害関係に左右され、協力者のエゴイズムを主張している、と揶揄されることもあるが、私がインドネシアで培った経験はそれらにノーを突き付けるものであったと思う。以上の経緯を踏まえ、私は将来的に開発協力の仕事に従事していきたいと考えている。

これら二点は、インドネシア留学を経て得られた経験の一部であり、他にも得た貴重な経験はたくさん存在する。これらの経験を今後どう生かすかどうか、ということは今後のアクションに大きく影響し、今後の人生プランに役立てていきたいと考えている。

最後に、貴重な留学機会を与えてくださり、サポートして頂いた事務局や先生方等のすべての方々に感謝の意を表し、アクティビティレポートを終えたい。