参加学生によるプログラム・レポート

アクティビティレポート③(2016年派遣:タマサート大学)

Thammasat  | 2016年11月28日

国際関係学部 山脇 春乃さん (2回生)

バンコクに来て1か月目の頃は文化、習慣の違いに驚き、戸惑い、時に楽しませられてきた。まず、タイは微笑みの国というイメージがあるが、常に微笑んでいるような人はそんなに多くない。店員さんの大抵は仏頂面で愛想がない。特に英語で話しかけると対応がさらに悪化することも少なくない。しかし、こちらから微笑むと仏頂面が緩み、笑顔を見せてくれる。とにかくつたないタイ語で話しかけると優しく対応してくれる。学校で驚き、今でも困っているのは冷房だ。とにかく温度設定が日本では考えられないほどに低い。授業中は上着を着用しているが、手足の先の感覚がなくなるほどに寒い。タイでは、温度を低くしておくのがおもてなしだそうだ。そのため、大学だけでなく、デパートや電車、バスも冷房がよく効いており、とても寒い。35度を超える日でも、大学ではよく、冬服を着ているタイ人学生を見かける。また、タイでやはり感じるのはLGBTの人々の多さ、特にトランスジェンダー、ゲイの人々の多さだ。身なりを整えているかっこいい男の人はだいたいゲイであることが多く、みんな自分のセクシュアリティーをオープンにしている。
最も驚いたのは、タイ人の国王、王妃への尊敬だ。街のいたるところで国王、王妃の写真が飾られている。私の住んでいるアパートのロビーにも大きく飾られており、さらに部屋の一室一室にも写真が貼られている。バスに乗っているとき、前に座っていた女性が突然何かに向かって手を合わせはじめたことがあった。何に向かって手を合わせているのか、と見てみると国王の写真であった。また、大学までバスを乗ると、王宮を通過するが、その際にもバスから手を合わせて尊敬の意を示す人々を見ることができる。タイには不敬罪が存在する。国王、王妃、王位継承者あるいは摂政に対して侮辱した、と認められると、タイ人、外国人にかかわらず、3年から15年の禁固刑を受ける。どんなに仲が良くてもタイ人に国王についていろいろと聞くことは躊躇われる。残念なことに、タイのプミポン・アドゥンラヤデート国王は今年10月13日、88歳で死去された。この日、病院前にはたくさんのタイ人が詰め寄り、国家を歌ったり、号泣したりしていた。この日から人々は黒い服を着用し、喪に服した。フェイスブック上でも人々はプロフィール写真を真っ黒にして、喪に服している。テレビもすべて国王の今までの功績をたたえるものになっている。これらは1か月続くようだ。政府関係者は1年間にわたって喪服、制服を着用する。プミポン国王はタイの経済発展や農村支援などタイのために生涯をかけて尽力した方であり、その人を失ったタイ国民の悲しみは測りかねる。王宮には毎日たくさんのタイ人が全国から詰め寄る。その王宮付近では食べ物や飲み物が無料で配られている。理由を聞くと、国王のために何かいいことをしたいから、という人や徳を積むためという人や、ただ単に遠くからわざわざ王宮まで来た人々に無料で食べ物を渡したいという人もいた。とにかく外は黒い服をきた人々であふれかえり、交通機関は完全にマヒしている。突然道が封鎖されたり、バスから降ろされたりすることは日常になりつつある。