参加学生によるプログラム・レポート

アクティビティレポート③(2017年派遣:チュラロンコン大学)

Chulalongkorn  | 2017年11月22日

政策科学部 張 暁玲さん(3回生)

タイに来て2ヶ月が経ちました。来た最初の頃は価値観や文化の違いに驚きましたが、今はそれに少しずつ慣れてきています。今回のアクティビティレポートでは、タイで感じる「マイペンライ精神」について書きたいと思います。


タイに来ると、一日に少なくとも一回は「マイペンライ」という言葉を聞くのではないでしょうか。「マイペンライ」はタイ語で、「大丈夫」「どういたしまして」「気にしないで」などたくさんの意味合いを持っている言葉です。一般的には、「ありがとう」と言われる際の返事として「マイペンライ」を言います。また何かに断る際に使う言葉です。しかし、タイに来てから、改めて「マイペンライ」の使う場面の多様性を感じました。印象に残っているのは入学した頃、学部オフィスの不備で受講登録のメールが届いてなかったため、オフィスに問い合わせたところ、「マイペンライ」と言われたことです。日本の場合だったら、謝ることが当たり前だと思いますが、タイでは謝る代わりに「マイペンライ」と言うことが多いそうです。日本で9年間生活している私は日本の考え方に慣れ、最初は「ありえない」と思いましたが、中国にいた時にも同じようなことがあったと思うと、なんとなく受け入れるようになりました。また屋台で注文した食べ物をこぼしてしまった時、店主に怒られると思いきや、「マイペンライ」と言って新しいものを出してくれました。このように、日常生活で「マイペンライ」と付き合うことがたくさんあります。


続いてバンコクの街並みの風景からみる「マイペンライ」を紹介したいと思います。バンコクの町では歩く度に「マイペンライ」の雰囲気を感じることができます。私が泊まっている留学生寮はバンコクの中心にあるサイアムに位置し、ショッピングモールなどが充実している立地です。しかし、寮の背後にはまだ発展に追いついてない団地のような地区があります。そこで暮らしている人々は飲食業で生計を立てています。レストランの席やテーブルが道路まではみ出したり、店舗の持ってない人は道路で押し車でフルーツや焼き鳥を売ったりしています。車の排気と焼き鳥の煙が混ざっている空気の中での買い物は日本ではあまり考えられませんが、タイでは普通なことで、皆が「マイペンライ」だと思っています。タイ政府が屋台の出店制限を強化しているにもかかわらず、屋台の店主が路上で営業をしています。バンコクの中華街ヤワラート通りの夜はいつも路上の屋台で賑わっています。歩いてみると、歩道で調理したり、食器の洗浄をしたりする風景が目に入ります。屋台を訪ねる外国人観光客が多いからか、また屋台の数が管理範囲外だからなのか分かりませんが、交通秩序を維持している警察は見ている以外に何もできません。ここからは、タイの「マイペンライ」文化を感じる一方、経済成長著しい首都のバンコクでもまだいつ撤去されるか分からない不安の中で生計を立てる人たちがいるというギャップを感じました。


要するに、「マイペンライ」という言葉は時と場合によって、その意味が異なります。「がっかりさせる」というネガティブな意味があれば、「ありがたい」「どんな環境でも楽観的になれる」というポジティブな意味もあります。残りの留学生活では、新たな「マイペンライ」文化を発見し、「マイペンライ」の使い方を会得したいと思います。

 

バンコク市内にある有名なパッタイ屋さん「Thipsamai」
店の前は歩行者の歩く道路ですが、調理場となっています。

 

 

  

メークロン鉄道市場
列車が通る鉄道で野菜や魚などを売っています。
日本人にとっては危険でありえないことですが、
現地の人にとっては普通です。