教員紹介

Naoto TAKAHASHI

高橋 直人

高橋 直人
専門
西洋法史

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

あまり聞き慣れないかもしれませんが、「西洋法史」というのが私の専門分野です。具体的に現在取り組んでいるテーマは、大きく分けて二つあります。一方は、「啓蒙の時代」とよばれる18世紀の後半から、20世紀の第一次大戦頃までのドイツにおける近代刑法学の成立と展開に関する研究です。他方は、そのドイツ刑法学が日本に取り入れられ、影響を与えていく過程に関し、特に明治から大正にかけての時代を中心に研究することです。

明治期以降の日本において刑法分野の新たな制度が整備され、また刑法に関する学問的研究が発展していく中で、いわば模範として強い影響を与えたのがドイツの刑法学です。このドイツ近代刑法学の基本的な特徴を、とりわけ当時の原語の文献や文書等の資料(専門的には「史料」といいます)を丹念に読み解きながら理解していくことが、前出の研究テーマのねらいです。

どんな学生時代を送っていましたか。

比較的まじめな学生であったと思いますが、並外れて学業優秀でもなければ、課外活動で活躍しているわけでもありませんでした。いわゆる「文武両道」だったとか、実はちょっとワルかった(笑)とか、そういった面白そうな特性には欠ける普通の学生でした。研究者を志して本気で勉強に取り組み出したのも、学部を卒業後、大学院に入ってからのことです。

とはいえ、そんな平凡な学生生活を過ごしていた者でも、ひとたび自分のやりたいことが見つかれば変わっていけるということ(私の場合、学生時代の最後の方で研究という道が見つかりましたが)、また、そういう何かに出会える知的刺激にあふれた場所が大学であるということは、皆さんにお伝えしてもよいのではないでしょうか。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

きっかけとしては、大学の3回生のときに「西洋法制史」のゼミを選択したことが大きいと思います。それまであまり勉強熱心な学生ではなかった私でしたが、(趣味で)ヨーロッパの歴史は好きだったため、ゼミで法の歴史について学ぶことに限っていえば自然にのめり込んでいきました。その後、深みにはまっていく感じで現在に至ります。

「必要だから渋々取り組む勉強」や「とりあえず役に立ちそうだから身につけるスキル」とはまた違った、単に「もっと知りたい」という気持ちに自分自身が突き動かされるような学問分野に出会えたことが幸いだったと思います。ただ、そういった一見単純でも純粋(?)な興味・関心は、本来的には大学での学問の原動力となり得るものであり、常に立ち返るべき原点かもしれません。

受験生のみなさんへのメッセージ

現在の社会において、法に関する知のあり方は多様化し、大学に求められる役割自体も多様化しています。そんな中、敢えて「学問」というかたちで、敢えて「大学」という場で、法に関する専門的な知にふれることが、皆さん一人ひとりにとってどのような意味をもつのか(あるいはむしろ、自分自身でどのような意味を持たせるのか)。今後の学生生活において将来を見つめながら、折にふれて考えてみるとよいと思います。

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経歴・業績について