専攻紹介

沿革

戦後直後から、北山茂夫(古代史)、林屋辰三郎(中世史)、奈良本辰也(近世史)、前田一郎(思想史)、岩井忠熊(近代史)などのきわめて著名な研究者を擁し、その学風は「立命史学」とよばれてきました。その特色は、中央中心の歴史学が見落としてきた史料を堅実に掘り起こし、それらの史料を縦横に活用しながら、民衆の立場からダイナミックな歴史像を復元していくことにあります。こうした学風は、巷間から幅広い支持を集め、日本史学専攻は文字通り「在野史学」の騎手たる地位を築きあげてきました。1970年代以降は、山尾幸久(古代史)、三浦圭一(中世史)、衣笠安喜(近世史)などの研究者がこの学風を継承・発展させ、次いでそのあとを受けた現教員によって学界をリードする研究が今も着実に行われています。
「立命史学」の学風の影響を受けた研究者・教員・学芸員は広く全国に及んでいます。殊に地域史研究・部落史研究・文化史(芸能史)研究・女性史研究などでは、他の追随を許さない蓄積を有しています。最近では、こうした蓄積の上に、政治史・文化史・思想史や考古学などでも注目すべき成果を挙げ、日本史研究会や歴史学研究会、日本考古学協会などの全国的学会でも中核的存在の一つと目されています。 また、京都大学日本史研究室・同考古学研究室、大阪大学日本学研究室・同考古学研究室などの関西の有力研究室、国際日本文化研究センター、国立歴史民俗博物館などとも幅広いネットワークを築いていることも特色です。全国にわたる市町村の学芸員、高校教員などの卒業生との交流も盛んで、そのことが就職活動にも良好な影響を与えています。

理念・目標

立命館大学文学部日本史学専攻は、古代から現代にいたるすべての時代に対応して一名以上の教員が配置され、また文化史などの特殊分野を専門とする教員のゼミも開講されているなど、学生の幅広い学びの希望に対応できるプログラム作りがなされています。 古くから「立命史学」と呼ばれる歴史と伝統を持ち、学界で活躍する研究者を多数輩出してきた専攻であり、特に思想史、社会史、文化史などに優れた研究成果を残してきましたが、近年は政治史、経済史などの分野においても新しい学問分野を切り開く研究が展開されています。
本専攻では日本史学の研究方法や研究成果について、鋭い批判を加えつつ継承し、さらに新たな方向へ展開させられる有為な人材を育て、日本史学の発展に寄与したいと考えています。また現代の日本社会が抱える様々な課題について、歴史的経緯を踏まえてその原因を深く分析し、どのような対応を行うことで未来を変えていけるのか、きちんと考えることのできる人材を育て、社会へ送り出していきたいと考えています。 そのために様々な専門科目が配置され、また卒業論文作成を通じて、四年間にわたる学問的修養の成果を、一つのオリジナリティーある作品に仕上げていく面白さと困難さを経験していただきます。学生諸君がこうした学びに積極的に取り組んでくれることを本専攻は期待しています。

教学目標

  1. 日本史に関する研究方法や研究成果を幅広く理解する。
  2. 日本史に関わる事象について、日本史の研究方法を用いて分析し、主体的で創造的な見解を形成できる。
  3. 現代や過去の世界について、日本史の研究成果を参照しながら、歴史的に問題を考察することができる。
  4. 日本史の研究方法や研究成果に対して積極的に関心を持ち、その妥当性を意欲的に検討する。
  5. 日本史の研究方法や研究成果と、現代社会の抱える問題との関係を積極的に見出し、歴史的観点から問題解決の方向を探る。
  6. 日本史の研究方法を習得するとともに、研究成果を口頭および文章で論理的に発表できる。

教学の特色

  1. 1歴史的な視点で様々な事象の現在・過去・未来について長期的に考えられる力を育てます。

    こうした視点を持つ人材のニーズは、不透明さが喧伝される今後の日本社会において次第に高まってくることが予想されます。日本史学専攻の学びを通じて、そうした視野を養っていきます。

  2. 2日本史学の専門的知識やその手法を学び、新たな知見を切り開いていきます。

    大学や研究所などで研究職に就き、学問的分野で活躍するための基礎的素養を身につけていきます。 ただしこれらの職を目指す学生諸君は、卒業後大学院への進学が不可欠となります。

  3. 3日本史・社会科教員の養成

    日本史学専攻における学びを通じて、将来、中学社会科・高校地歴科などを担当する教員となるための基礎的な教養を学び、また、教職のプログラム科目を受講、単位取得することにより、教員の資格を取得することができます。本専攻のOB・OGからは多数の現役教員が輩出され、日本各地で活躍しています。