NODA Miki

野田 実希

野田 実希
所属学部
総合心理学部
職位
准教授
専門
臨床心理学、心理臨床学
主な担当科目
「ナラティブ療法論」など
おすすめの書籍
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)――100年時代の人生戦略
すばらしい新世界

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

研究では、人生における体験の語りと、その語りを聴くための方法論についての質的な研究を行っています。

職業人のメンタルヘルス不調による休職の体験理解と支援を主テーマとしていますが、その他、人生における喪失、傷つき、危機にともなう自己の揺らぎにも目を向け、人がそれらをどのように意味づけているのか、そこでどのような「わたし」という自己が生きられているのかについて、ナラティヴ(語り・物語)の視点から捉えるための方法論の検討も行っています。

そうした検討を通して、「わたし」-「あなた」という二者関係の中で生成される語りを心理臨床家がどのように引き受けていくのか、心理臨床実践と質的研究との接点を模索しながら探究しています。

どんな学生時代を送っていましたか。

私は、大学の学部を2度、経験しています。

1度目は、高校卒業後に進学した大学・大学院で英文学を専攻していた時で、高校時代の勉強に没頭する姿勢が抜けず、課題やサークル活動でとても忙しい毎日を過ごしていました。一方で、自分のこころの内側にエネルギーが向かっていき、「好き」と感じるものに対してアンテナを張り、趣味や創作に取り組む時間を大切にできていました。

2度目は、大学院修了後に社会人として働いたのですが、臨床心理学を志して退職し、学士編入した時です。その時は「臨床心理士になる」という明確な目的をもっていましたので、とにかく今やれること、やりたいと思えることは何でも挑戦しようと思い、自分の直観に忠実に生きることを大切にしていました。短期留学や他分野・多文化の学生との交流、非常勤勤務などを行い、今振り返るとバイタリティに溢れていたように思います。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

中学生の頃から、「人が生きること」「自分とは何か」というテーマに興味関心をもっていました。高校生の頃は、英語に関わる領域・仕事に興味をもち、英文学を専攻し、大学院まで進んだあと、上記のテーマへの問題意識はそのままに、国際関係の仕事に就きました。

働く中で、ワーク・ライフ・バランスについてや、「人が働くとはどのような意味をもつのだろう?」「働く中でメンタルヘルスに不調をきたす人に、どのような支援が必要になるのだろう?」と考えるようになり、臨床心理学を一から学び、人の支えになる仕事をしたいと志望するようになりました。

それからだいぶ経ってからですが、中学の文集に「英語か心理学に関わる仕事がしたい」と書いてあるのを発見したのです。自分がそのように書いたこともすっかり忘れていたのですが、必然的に原点に立ち返ってきたような感覚でした。

高校生へメッセージをお願いします。

わたしたちは日々の中で、さまざまな出会いを重ねています。

それは、誰かと出会うだけでなく、見たことのない世界や新しい学び、視点や価値観、そして、これまでとは違う自分の気持ちや考え方、すなわち「わたし」自身との出会いも含まれています。

「わたし」という自己は、ただ一つの固定したものではなく、多面的で、さまざまな文脈の中で生成され、変化するものでもあります。ときにはその曖昧さや不確かさに不安や戸惑いを感じたりするかもしれません。また、「わたし」という感触をもてなかったり、しっくりこなかったり、手放したい、と思うときもあるかもしれません。

そんなときは、良い-悪いという判断をするのではなく、まずは、「そのように感じるわたしがいる」ということに、まなざしを向けてみてください。そうした、「わたし」にこころを開いていく在りようが、新しい「わたし」との出会いにつながっていくことと思います。

経歴・業績について

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