YAMAMOTO Hisako
専門分野は発達心理学と認知心理学、具体的な研究テーマは「視聴覚統合や音の聞き取りの発達的変化」です。現在は、気持ちやことばといったコミュニケーションに重要な情報を捉える上で、声という「聴く」情報と、顔の表情やボディランゲージといった「見る」情報がどのように組み合わせられて知覚されるのか、またその捉え方が、年齢、言語、文化差、その他個人差によってどのように変わりうるかを調べています。
子どもの頃は天文学者と作家になりたいと思っていました。学部生の頃は合唱に明け暮れる日々を送りました。大学院では分野をシフトしたこともあってテーマを彷徨いながら、他学部の図書室を巡ったり、他大学の授業や研究会に顔を出したり、放送局や幼稚園での仕事に取り組んだりもしていました。効率のよい学生生活とはほど遠かったと思いますが、院生仲間たちと研究会を開いたり、研究と本を肴に語りあかした生活は今の宝物です。
小学4年の頃、人間それぞれが感じている世界は全く違うのではないかという疑問を抱いたことが最初のきっかけだったように思います。音楽を通して「聞く」ことへの関心が強まったこと、大学に入ってすぐの授業で認知心理学に出会ったこと、知覚が形作られる過程としての「発達」に興味を持ったこと、これらを通して今に至ります。研究テーマに迷っていた修士の頃、先輩に「何の人って言われたい?」と尋ねられたことは今でも心に残っていて、自分にたびたび問いかけます。
自分が最近実感することの1つに、良くも悪くも「自分の体は学生の頃に読んだものによってできている」ということがあります。今、学生のみなさんが出会って学ぶ物事の1つ1つは、やがて自分の血と肉と骨となって、5年、10年、あるいはそれ以上先かもしれませんが、困ったときにふと助けてくれるものであると信じています。ぜひ今のうちに様々な物事を見て、聞いて、その時の自分のこころで必死に読み取ってみてください。