2008年6月7日 (第2857回)
日本の裁判は「普通」なのか?-司法制度の比較-
法学部 教授 渡辺 千原
裁判員制度発足まで残りあと1年、裁判員を迎えるに当たっての裁判所の準備もいよいよ大詰めを迎えてきている。市民の裁判への関心も、少しずつ高まっているようにも思われる。
映画『それでもボクはやってない』では、リアルな裁判シーンが話題を呼んだし、裁判傍聴をネタにした書籍の売れ行きも好調である。弁護士ドラマや、法律相談番組も人気を博している。
他方、「素人が裁判なんてできるはずないし、できればやりたくない」というのが、多くの人の本音であることも否定できないだろう。裁判は、専門家のモノ、だから、裁判所や裁判手続が、どんなものなのかについても、知らなくて当然、これまでの日本の裁判には問題はなく、よくやってきている・・わざわざ素人がしゃしゃりでなくてもよかろう・・。
でも、そう言うためには、もう少し裁判に近づいてみることも、逆に、ちょっと離れて、他の国の裁判と比べてみることも必要だろう。当たり前のようでよく知らなかった、日本の裁判のしくみや特色を、比較法的に検討してみれば、少し裁判が身近になり、これまでと裁判が違って見えてくるかも知れない。