2008年9月20日 (第2868回)

現代中国電影 -多様化する中国映画とネット社会-

文学部 教授 上野 隆三

 現在、中国映画は世界の注目を集める存在となっています。80年代前半までも、謝晋監督のように映画の専門家などから高い評価を得ていた監督、作品もありました。しかし中国映画が世界の映画の中で一定の地位を占めるようになり、世界の映画業界が中国の映画作品に注目するようになったのは、張藝謀、陳凱歌ら第五世代の監督達の積極的な海外進出がきっかけであると思われます。その流れが中国の改革開放政策でさらに加速し、若手映画人による比較的自由な主題のインディーズ作品の登場や有名監督の海外資本による大作の製作といった、さまざまな形の作品を我々は楽しむことができる現状となっています。

 そのように一見非常に活発に見える中国映画でありますが、実は中国の映画館は決して賑わってはいません。かつて隆盛を誇った日本の映画産業がテレビの普及によって衰退したのとは異なり、中国の場合はインターネットの発達と深くかかわっているようです。

 時代の変遷のなかで、中国映画は誰のために作られてきたのか、という視点で、実際の映画の一部分なども使って考えていきたいと思います。