2008年9月27日 (第2869回)

「孔子学院現象」と所謂「ソフトパワー」

政策科学部教授 立命館孔子学院学院長 周 瑋生

 言語の多様性と文化の多元化は生物多様性と同様に、人類にとっては欠けてはならないことである。孔子学院は、中国語教育や世界との文化交流を促進するために、中国政府が2004年からスタートした海外の教育機関と共同で設置される非営利公益性教育機関である。現在世界で75カ国・地域、計261の孔子学院が設立された。その中、米国は47、日本は11個を占める。あまりにも急スピードで増加することで「孔子学院現象」とも呼ばれている。

 一方、「ソフトパワー」とは、文化など精神的な無形な力(思想、道徳、法律、教育、言語、価値観、政治制度、生活方式など)のことで、その先進性と吸引力を発揮し他人や他国に影響する力と解される。

 本講座では、世界各国の言語教育と文化交流の歴史を紹介したうえ、「孔子学院現象」の背景、現状と課題を分析し、「ソフトパワー」との連関性について解説する。