2008年12月20日 (第2880回)

身体とイメージ ―臨床心理学からみた「気」―

京都文教大学臨床心理学部 教授 濱野 清志

 臨床心理学は「こころ」を対象とした援助活動をその仕事の中心に据えていますが、「こころ」は私たちの日常の生活のなかで、それだけ取り出してあれやこれや話し合うことが非常に難しいものです。実際には、「こころ」も「からだ」も、「私」というひとりの人間の「いのち」を離れては成りたちません。

 「こころ」の問題は、「からだ」の問題に比べると、自分の努力や工夫で何とかなることが多いと思われている方が多いと思います。しかし、私が臨床心理学的な援助の実践を通じて実感することは、「こころ」の問題も「からだ」の問題と同じように、意識的な努力や工夫ではなんともしようのない問題に関わっているということです。しかしまた、そうはいっても、カウンセリングではそういった問題はどうしようもないのかというと、そうでもないところが面白いところです。私はこれまでこういったことを「気」について考えることをつうじて、あれやこれやと思い巡らしてきました。

 当日は、そのあたりを皆さんに聞いていただき、ご意見を伺えればと思います。