2005年8月6日 (第2738回)

バイオテクノロジーマネジメント入門 ―遺伝子組み換えから創薬まで―

MOT大学院 テクノロジー・マネジメント研究科教授 香月 祥太郎

 わが国に遺伝子組み換え技術を中心とするバイオテクノロジーが導入されてから25年が経ちましたが、これまで医療や農業などのさまざまな分野で遺伝子利用の研究が進められてきました。

 最近ではヒトゲノムの解読完了を機にゲノム遺伝子の構造や機能の解明が進み、生命科学の原点としてのゲノム科学への期待が急速に高まっています。

 特にゲノム創薬や遺伝子診断、遺伝子治療といった医薬・医療分野においては、SNPs(1塩基多型)やRNA、トランスレーショナル・リサーチなどの研究を通して、多くの遺伝子機能の研究成果が活用されつつあります。

 本講座では、まず遺伝子とは何か、遺伝子研究はどのように進んできたか、どのような分野でその成果が利用されてきたか等、これまでのバイオテクノロジーについて概観したあと、今日の最先端のゲノム研究とその成果について解説します。ここでは日米の研究戦略の違いなどにも注目します。

 次いでゲノム創薬とは何か、その知的財産戦略は何かについて事例をもとに説明します。さらにゲノム創薬を目指して熾烈な競争を繰り広げる世界の製薬企業の経営戦略と業界の実情についてお話しする予定です。

 これらの講座を通してゲノムや遺伝子研究の重要性と戦略性を感じ取っていただければ幸いです。