2005年8月20日 (第2739回)

エネルギーマネジメント入門 ―電池から地域における高度エネルギー利用システム開発事例まで―

MOT大学院 テクノロジー・マネジメント研究科助教授 石田 修一

 私たちは安全で豊かな生活を営む上で、多くのエネルギーの恩恵に与っています。しかもエネルギーについて何か特別な知識や意識を持つ必要もなく、多様なエネルギーを自由自在に活用することが出来ます。

 実は、こうしたことは社会における巧みな“技術のマネジメント”なしにはあり得ません。携帯電話を使う際には充電型の電池を装着し、この電池を充電するときには家庭用のコンセントに差し込みます。さらにこの家庭用コンセントの電気は、現在は電力会社が原子力発電所などで発電したものを使用していますが、将来的には一家に一台の燃料電池で自己発電することも可能になります。

 このように今日のエネルギー開発は、小型の電池から中規模の燃料電池、果ては超大型の原子力発電所まで、極めて多様な領域を包含しているわけです。そして各々の技術は全く異なっており、すべてのエネルギー開発を一度に見渡すことは大変困難です。

 すなわちエネルギー・マネジメントとは、乾電池から原子力発電までの幅広い技術分野の知識や技術を集約し、それらをあたかも一つの存在であるかのように一般国民や消費者へ提供するという、困難で重要な役割を担っているのです。