2010年3月20日 (第2930回)

グローバリゼーションと法人税改革

大阪経済大学 非常勤講師 三好 ゆう

  90年代から21世紀初頭にかけての法人税改革は、課税ベースの拡大と税率の大幅な引き下げをワンセットに進められました。 わが国の法人税負担が欧米諸国に比べて比較的高い水準にあったことと、経済のボーダレス化とともに企業活動が国境を越えて多岐にわたり、法人税が国内企業の国際的な経営活動を阻害しかねなかったためです。

 近年は、企業の組織形態や会計システムが大きく変貌し、企業を取り巻く環境が急速に変化したことに対応するため、法人税制の再編が行われつつあります。

 法人税改編は、主に税負担の面から要請されたわけですが、実際の税負担には次の特徴があります。 わが国の法人約290万社のうち、6割強が赤字法人であり、法人税収入の半分は黒字の大法人によるものです。 法人税は「法人所得×税率」で算出され、税率は単一税率でありますが、利益計上法人数の割合や経営実態の差異によって、企業規模別に税負担率格差が存続しています。  

 本講座では、90年代以降の法人税改革を概観し、法人税の計算のしくみを確認したうえで、税負担率の面から改革の影響についてみていきたいと思います。 そして、今後の方向についても考えたいと思います。

聴講者の感想

 本日はまことにありがとうございました。

 法人税は企業が支払う税ということで、消費税や所得税等の非常に身近な税とは違い、詳しくは知らなかったため、大変勉強になりました。

 特に、中小、中堅企業に税負担が大変重いことは初めて聞いた話で、一概に法人税と言っても、様々な企業規模に配慮する必要があると感じました。

 今後も、こうした普段知らない知識、しかし重要な内容の講義を続けてもらいたく思います。ありがとうございました。