2010年4月3日 (第2931回)

東アジア共同体の歴史的意義

経済学部 教授 松野 周治

 東アジアは1997年-98年の通貨金融危機を克服し、地域全体として成長を続ける一方で、地域内(国内、各国間)の経済・社会格差も表面化している。 2008年秋の米国リーマン・ショックに端を発したグローバル金融・経済危機は、世界経済における東アジアの役割を一段と高めているものの、そのためにはヨーロッパ等と比べて遅れている地域統合を進展させ、 それを基礎にしたグローバリゼーションを東アジアで展開することが必要である。

 米国オバマ政権に続いて発足した日本の鳩山新政権は、「東アジア共同体」設立を長期目標として掲げ、国際社会から注目されたが、 その意義について、第二次世界大戦前の「大東亜共栄圏」構想など近代東アジアの歴史も振り返りながら検討したい。

 なお、本シリーズ講座は、立命館大学国際地域研究所等が実施した平成21年度外務省日中研究交流支援事業「21世紀東アジアにおける新たな日中関係―現状と課題―」の成果を基礎にしたものである。

聴講者の感想

 私はAPUの学生で、今年1年間立命館大学に交流学生として所属しています。今日の講義では東アジア共同体の構想の過程のダイジェスト版をきけ大変興味深い内容でした。 アジアという大きな地域のまとまりを目指すことはそれぞれの地域の同意→総意がむずかしい(政治体制も異なる中で)、課題が多くあるということを再認識しました。 しかしながらアジア地域が一体となることが実現すれば更なる経済発展、本当の「グローバル化」が目指せるという可能性があり大いに期待できます。もちろん日米関係も持続的に重要なもの(優先)とされるべきですが、 やはり東アジア共同体で重要なポジションである我が国がもっとリードして考えていかなければならないテーマだと思いました。