2010年4月10日 (第2932回)

日本外交と東アジア共同体

客員教授・ 元EU大使 朝海 和夫

 この40年間、日本の対外関係は大きく変り、講師が携わった任務も、当然、変って行った。日本の高度成長期には米国などとの間の「貿易摩擦」が大きな課題だったし、 世界の保護主義を押さえ込むためにはウルグアイラウンドという多角的貿易交渉の成功も重要だった。 政治面では、正常化したばかりの韓国・中国との関係は、それなりに微妙な舵取りを必要としていた。

 しかし近年、米国などとの貿易摩擦は以前ほどの問題ではない。国際社会の課題は、温暖化防止、人権の擁護や貧困の撲滅、テロや核拡散防止といったことに移っている。 アジアをめぐる情勢も大きく変遷しており、例えば中国との関係は、日中二国間の見地だけでなく「国際情勢・アジア情勢全体の中で」中国との関係をどうするか、という課題になっている。

 土曜講座では、こうした流れを踏まえて「東アジア共同体」構想をどう考えるか論じてみたい。

聴講者の感想

 初めて立命館土曜講座を受講しました。東アジア共同体には前からとても興味があったので、学部で受けている授業の他にも、 このような形で、しかも無料で聴講できて、とても得した気分です。

 今回の講義では、東アジア共同体結成にあたっての課題などを説明していただき、とても興味深かったです。次の土曜講座も受講しようと思います。