2010年4月24日 (第2934回)

東アジア統合はEU統合から何を学ぶべきか

経済学部 教授 田中 宏

  鳩山「東アジア共同体」構想は幻想だ、という声が最近では聞こえてきます。ところで、20年以上にわたりEUや欧州の東西経済関係を研究してきましたが、 その成果の一部を活かして、現在日本が直面している「東アジア共同体」構想について考えてみたい。もちろん、論者によってその構想の中身も将来の発展の方向性もかなり異なります。 一般的には東アジアと欧州では社会や価値観、文化が異なるので参考にならないといわれていますが、他方では共通通貨創出では目標が一致しているとも考えられます。 講座では、EUで成功したところではなく、失敗した側面に東アジアの成功のカギが隠されているのではないかという問題意識でお話をしたい。

聴講者の感想

 第二次大戦下、欧州と亜細亜も共に戦場と化したが、戦後の歩みは対照的で、地域の共同体構想は欧州がかなり先行している。 その理由は①過去の清算②国境の自由③通貨の統一にあり、何より互恵関係の構築と強化があって、これらが功を奏しているのであろう。 従って、特に友好・協調路線のハードルをクリアする局面の東亜細亜は欧州の事例を参照し方向付けの支柱として活用しなくてはならない。