2010年7月24日 (第2945回)

生物多様性条約における遺伝資源の取得と利益配分

国際関係学部 教授 西村 智朗

 生物多様性条約は、気候変動条約と同じく、1992年の地球サミットを機に採択され、現在190以上の締約国を確保する最も普遍的な環境条約の 一つである。この条約は、その名の通り、生物多様性の保全はもちろん、その持続可能な利用や遺伝資源の取得及びその利益の公正かつ 衡平な配分を条約の目的に掲げる。

 遺伝資源は、医薬品の開発等にとって不可欠の存在であり、遺伝資源の宝庫である森林生態系は、より一層保護していかなければならない。 他方で、これまで途上国にある森林等から自由に遺伝資源を取得し、利益を得てきた先進国(の開発者)に対して、途上国は、 森林等の保護の見返りとして、その利益の配分を要求している。ここに遺伝資源の取得と利益の公正かつ衡平な配分をめぐる先進国と 途上国の激しい対立が存在する。

 今年10月に名古屋で開催される生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)では、遺伝資源の取得とその利益の公正かつ 衡平な配分に関して新たな国際ルールが作成される予定である。そこで、遺伝資源の利用と管理のあり方をめぐる国際交渉の現状を紹介し、 その国際制度の課題について検討したい。

聴講者の感想

 日常的にアメリカの軍事基地の影響を受けているわけではありませんが、戦後60年も経過して外国の軍事基地が日本にあるのは、どう考えても異常だと考えます。

 ましてや沖縄の基地は、やはり早急に撤去すべきです。

 日本の大手マスメディアが、日米安保体制を当然視しその立場から論調をたれ流すのは、何んとも悲しい現実です。

 今日のお話から市民レベルでも、日本の安全保障政策にも関心を持ち、理論的にもしっかり勉強する必要性を痛感しました。

 日本の国民がおかれている一方通行の情報を克服する努力を、講座の受講を通じて養いたいものです。ありがとうございました。