2010年8月7日 (第2946回)

平和創造に向けた歴史認識の共有と「戦後解決」

立命館大学国際平和ミュージアム 館長 高杉 巴彦

 普天間基地移設問題をめぐり、日本の米軍基地と「安保体制」が問われました。世界では核廃絶の方向性と展望が議論されています。 世界の中で日本が取るべき立場、アジアとの関係のあり方について、国民としても国家としても自覚的に内外に示していくことが、日本を尊敬される誇りある国にしていくことになるでしょう。

 その際、戦後処理を含めた日本の戦後史が国民の中で共通理解され、その上で未解決・未処理の課題が整理されなければなりません。 日本近代史についての学校での未学習が言われていますが、むしろ問題は、紛糾や対立する課題について整理し、若者が日本の今後の方向を考えて、 未処理の問題について解決できるような学習や思考のトレーニングが、決定的に不足していることです。戦争と戦後処理についての歴史認識を深め、戦後の問題を未来に向かって解決し、 日本のあり方を定めていくため、未解決課題について考え、共有認識を持ちたいと考えます。

聴講者の感想

 ある歴史的行為(特に政府として行ったこと)が正しいかまちがいかということを判断するに当たり、まずどこまで事実がどれだけ認知されているかというと、 どうもこの点が怪しい。例えば戦後65年にしてようやく一般市民に知らされることがある。特に戦争に関しては、その時々の支配者層に不都合な事実がねじ曲げられたり、 消去されたりして表向きの偽りの歴史がつくられたりしてきたことも明らかになってきている。今進行している政治ですら同じことが伺えることを思うと、 国民の共通認識というのがかなり難しいと感じる。国民の政治に対するもっともっと厳しい目線が平和の創造には、何よりも必要だと思う。