2010年8月28日 (第2947回)

「断絶」の変容と戦後-わだつみ・沖縄・戦争の記憶

産業社会学部 准教授 福間 良明

 「戦争体験の継承」が言われて久しい。だが、そもそもそれは、いかに「断絶」してきたのか。その点には、意外に注意が払われなかったように思える。

 

 また、「断絶」といっても、それは過去と現在の「断絶」に限られるものではないだろう。たとえば、戦没学徒兵の手記をめぐる言説の変化と沖縄戦や広島・長崎のそれとのあいだには、 さまざまな食い違いが生じていた。だとすると、その食い違いの断面には、同時代で見落とされがちであった何かが浮かび上がっているのではないか。  

 本発表では、時間軸における「断絶」とともに、共時的な「断絶」―同時代における「本土」と「沖縄」の議論のねじれなど―を紹介しながら、従来の戦争の語りの問題点、 あるいは、かつてはありえた議論の可能性について、考えていきたい。

聴講者の感想

 本日は、わだつみ像、沖縄、広島、長崎の戦争体験の継承とその考え方の断絶についての講義ありがとうございました。 歴史というのは、支配層がいかに民衆を支配していくのに都合がいい方向にコントロールしていったのかがかい間見れました。

 本当に必要な事は、過去について、客観的に責任を回避せず分析し、新たな方向を見出すことではないかと思います。