2010年11月6日 (第2957回)

スウェーデンから学ぶ福祉と経済の両立

産業社会学部 教授 篠田 武司

 スウェーデンの福祉は、自律-自己決定できること、平等-すべての人に選択の可能性が開かれていること、 自由-すべての人が自由であることによって各人は自由であること、連帯-支え合い、という理念によって建設されてきた。 具体的政策としては、社会的に弱い立場にある人に対してだけでなく、すべての人を対象として、市民が人間としての尊厳をもって生活できることを保障するという包括的福祉政策を特徴としている。 さらにまた、なんといっても、すべての市民が働くことができ経済的に自立できることが人々の自律の基礎であると考え、完全雇用政策を福祉政策の一環として捉えたことも大きな特徴をなしている。 雇用を保障するためには、産業が経済環境の変化に素早く対応して経済が活性化し、安定的に推移する必要がある。では、そうしたことを可能とするためには何が必要なのだろうか。 そうしたことが可能なシステムがスウェーデンの経済、社会体制の中に組み込まれているのだろうか。ここでは、そんなことが検討される。

聴講者の感想

 マルメ大学(スウェーデン)に交換留学をしておりました本学の卒業生です。

 福祉の基盤がしっかりしているからこそ、選択の可能性が実現されることがよく分かります。やりたいのにやれない、日本の女性の就業と育児もそんな言葉がよく聞きます。

 私も今、フルタイムで働いている一人です。やりたいことをやれる、やりつづけられる社会へ日本も変わっていけないかと願っております。

 本日はありがとうございました。