2011年1月29日 (第2965回)
モノを見直す 友禅下絵の世界
グローバルCOEプログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」PD 岡本 隆明
山本 真紗子
山本 真紗子
京都の重要な特産品である西陣織や友禅染は、明治維新以降、新しい技術の導入やデザインの改良が熱心におこなわれました。 立命館大学アート・リサーチセンターでは、そうした明治末期から昭和初期にかけて作成された西陣織・友禅染の図案を所蔵しており、現在その整理作業を進めています。 これらの資料がどこからきたのか、どういった性格をもっているのか、調査を進めていくうちに、西陣織や友禅染関連の資料がおかれている現状も明らかになってきました。
また、本学所蔵の資料には、図案の裏面全体に別の紙を貼り付けて補強しているものが多数含まれています。 すでに今年度の土曜講座やアート・リサーチセンターでの展覧会で一部をご紹介いたしましたが、今回は図案の裏にある軍や役所関係の文書を中心にご紹介したいと思います。 図案に描かれた題材や裏面に残された文書そのものの成り立ちを考えることで、当時の社会状況が見えてくるのではないかと考えています。
そして、これら図案を広く利用してもらうために、今後どのように公開していくのかという点についてもご紹介させていただきます。
聴講者の感想
友禅図案という1つのテーマの中から、様々な研究課題を発見されている御二人の様子がよく分かりました。
特に岡本さんの、モノの大きさ・量・重さなどの煩雑さを解消し、デジタルアーカイブ利用者の利便性を図る目的でのパソコン・ネットの使用を行っていることが、目に見えて伝わりました。部分的な拡大・回転・反転など、私たち利用者のニーズにあった使用方法があると思います。万金膏の発表は非常に興味深く拝見しました。