2011年2月19日 (第2966回)

炭を使った環境にやさしい農作物 クールベジタブル

衣笠総合研究機構 チェアプロフェッサー 柴田 晃
立命館グローバルイノベーション研究機構 熊澤 輝一

 日本において都市住民・地域住民を問わず人々が楽しく生き生きと生活するためには、美しい国土とその保全の担い手たる地域が存続されねばならない。 つまり地域における林業・農業・漁業がうまく回らなければ、一見いつもそこにあると思っている食料・水といった基本的な資源が枯渇することになる。 特に森林資源と農地は重要であり、水資源および漁業資源に直結している。いかに森を守り、農地を守るか、地域社会における持続可能な施策が問われている。

 日本において、長い間、炭は生活の一部であり、生活そのものであった。この60年間で、化石燃料にその地位を奪われ、林業における炭焼きは衰退の一途をたどってきた。 近年、その炭が見直されている。これは、二酸化炭素削減のための炭を使った農地炭素貯留である。地域の竹林や間伐材、もみ殻等の農産未利用バイオマスを使って、 炭を作り農地に土壌改良資材として使用し炭素貯留野菜を作ろうという運動が活発化してきた。今年は当地立命館大学でバイオ炭による農地炭素貯留についての世界大会を行う予定である。 皆さんの積極的参加を願うものである。

聴講者の感想

 私は、伏見深草地区に住んでおります。昨年より区役所深草支部において「大岩山の清掃活動(里山再生)」プロジェクトにボランティアとして参加させていただいております。参加した理由は、里山再生という言葉に共感したからであります。実際参加して感じたことは、不法投棄によるゴミの山を行政と地域住民の力できれいな山になったことは、大変素晴らしいことだと思うが、最も大切な動物・植物・昆虫・鳥類・土壌・水質といった自然環境・生態系の回復を具体的にどのようにすれば里山が再生されるのか、関係者に質問してもまともな返答は無かったのが残念であった。私がイメージしている里山とは、田んぼとクヌギの木が基本としてあり、水の管理・樹木の管理が人間の手で行われ、その恩恵を動物・昆虫類等の生き物が受けるといった単純なシステムだと素人ながら思っております。今後、行政が行っている市民活動を今一歩深め、具体的な活動を行うための手段としてどのようなことを考えられるか、研究が進められることを期待します。