2011年3月12日 (第2968回)

グローバル・ヒストリーズとは何か

文学部 教授 崎山 政毅

 世界はグローバル資本主義の展開のなかで、地球上に生きるすべての人々が、速度と強度をそなえた目には見えないネットワーク上の力によって《植民地化》されたかのような、まったく新たな段階に達しています。

 この事態が浮き彫りにしたものは、わたしたちの世界が、互いに非対称的かつ重層的に接続しあう、ダイナミックな歴史的結合関係によって織りなされている、ということです。

 こうした複合的な歴史の結合関係を「互いに接続された複数の歴史」としてとらえる――この視座が「グローバル・ヒストリーズ」とわたしたちが複数形で呼ぼうとしているものにほかなりません。そこから見える歴史像は、従来考えられてきた「支配‐従属」論や「中心‐周辺」論といった枠組みを、さらに緻密に、そしてさらに立体的な奥行きをもったものへと刷新することでしょう。

 私が担当する回では、「グローバル・ヒストリーズ」の概観を、海を越えて影響を与えあってきた芸術・文学をはじめとする領域から食糧・環境問題まで、さまざまな具体的な例を通して皆さんにお伝えすることを目的としています。

聴講者の感想

 総合的な視座における新しい分野への挑戦の研究発表であったと思います。

 年齢を経てこの地上に66億と言われる人々の数だけ歴史があると理解するようになりました。

 多種多様な現実の人々の歴史、それを同位置づけどう社会に還元できるかが今後の課題と思いました。