2011年3月19日 (第2969回)

コーヒーの味は歴史が決める? -グローバル・ヒストリー的アプローチ

文学部 非常勤講師 小澤 卓也

 コーヒーの味は歴史が決定するって? バカを言うな、コーヒーの味は人間が決定するに決まっているじゃないか! コーヒーの種類、栽培方法、収穫や精製の様式、焙煎具合、いれ方などの違いで味が変わることを知らんのか! ……タイトルをご覧になってそう思われたコーヒー通の方もいらっしゃるでしょう。まったくその通り。しかしながら、各地で生産されたり、消費されたりしているコーヒーの味の一般的傾向が、それぞれ独自の歴史的環境に大きく規定されてきたこともまた事実です。さらに各地におけるコーヒーの嗜好が、相互に影響を及ぼし合いながら複雑な形で世界に広がって現在に至っています。

 例えば、世界一のコーヒー生産国であるブラジルでは、なぜ一般的に高値で取引される水洗式コーヒー生豆の生産量が割合として少ないのでしょうか。また、高品質コーヒーの生産国として知られるコスタリカは、なぜ他の中米諸国に先駆けて水洗式コーヒー生豆の生産を開始したのでしょうか。また、世界第一位のコーヒー消費国であるアメリカでは、どのようにしてコーヒーに対する嗜好が形作られていったのでしょうか。こうした問題について、国境を越えて飛び回るコーヒーの動向を見据えながら、グローバル・ヒストリー的視点からお話をさせて頂きます。ただし、「美味しいコーヒー」について定義したり、その味について吟味したりするお話ではないのでご注意ください。

聴講者の感想

 小澤先生の授業、本当に面白かったです。お疲れ様でした。

 コーヒーの味は歴史が決める、というテーマを取り上げられていましたが、それぞれの国、地域、人々が相互作用的に作り上げてきたということがとてもよくわかりました。

 中心と周辺、今までグローバル・ヒストリーではそういった視点を中心として語られてきたように思いますが、多様性や関連性を無視すると多くのことを失うということがとてもよくわかりました。

 ありがとうございました。